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最初の晩餐のmazdaのレビュー・感想・評価

最初の晩餐(2019年製作の映画)
4.1
子連れ再婚、高校生の息子を連れた母と小学生の姉弟を連れた父の5人家族。
ぎこちない家族の距離感の描き方が素晴らしい。結局この家族の完成形がなんだったのかはわからないのに、窪塚演じるお兄ちゃんがそのわからなかった時間の中で吸収して得た現在の姿、シンプルに心うたれる。
家族と呼ぶとなんだか簡単に通って入れないような、現実的な血の繋がりとか家系とかっていう話がどうしてもでてきて、大きく重い認識になってしまうのだけれど、大切な時間を一緒に過ごした人というのだって、家族と同じような、誰かに説明しても正確に伝えることのできないような関係だと思うし、そこで空気を共有していた人にしか感じれないものが存在すると思う。
家族ではないそういう絶妙なバランスで積み上げてきたこの人たちの距離感の演技というのがとにかく良かった。

とくにやっぱり永瀬さん、何をやらせても超生きてるって感じのする演技をする人。
見るたびに惹かれる俳優。かっこよすぎ。全員良かったけど、全てのシーンで、どこを切り取っても必ず良いっていうのはこの人だけ。
戸田ちゃんがお兄ちゃんと話して泣くところと、永瀬さんが息子と会って泣くところが好き。

また少し違うけど、まんびき家族みたいな、現実的には他人なんだけど他人と言いきって突きはなすほどは見放せない、優しい人がもってる情みたいなところでは少しだけ似てる気がする。
みんな内で思ってることは同じなはずなのに、どうすればよかったかいつになってもわからないし、ぎこちなさを隠すこともできず、ちっとも家族らしくないのに、何故だか互いに特別なんだろうなというのはものすごく伝わる。うまく説明できない不思議な心地よさがあった。

人と人との結びつきと、そこでキーになっているのが食事というところが深夜食堂っぽい。同じ匂いがする。あそこまでの温かみはないし、この映画は決して飯テロみたいなものは存在しないが、誰かとご飯が食べたくなると思う。
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