マクガフィン

最初の晩餐のマクガフィンのレビュー・感想・評価

最初の晩餐(2019年製作の映画)
3.6
ステップファミリー設定で、血縁に関係ない家族の絆を描く作品は多いが、家族としての止まったままの時間を、思い出の詰まった料理の数々を食べながら過去を振り返り、長年の鬱憤が浄化するアプローチの特殊さに好感。情念を描くと停滞しがちだが、情念と料理の組み合わせが良く、料理や料理に纏わる出来事を背景にしたりアクセントにすることが効果的に。

人間の繊細な心情を抑制が効いた演出で丁寧に積み重ねることが良く、狭くなりがちな設定だが、リビドーとタナトスを感じる登山のメタ的背景が深みを齎す。

不器用な人達だが、日々の食事や自然のパワーを体験しながら育む絆が巧みで、血縁ではなく、絆による家族ならではの思いやりの温かさが心地良い。新たな繋がりを暗示させる、最後の料理に感服する。