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死刑台のエレベーターのRのレビュー・感想・評価

死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)
4.9
これで5回目。昔見て何てクールな映画だろう!と衝撃を受けた作品。今見ても感想は変わらずだねー。やっぱすげーいい。フランス代表の魔性の女ジャンヌモロー演じるフロランスが、何度も何度もJe t’aime! Je t’aime! 愛してる愛してると公衆電話の受話器に喘ぎ、モーリスロネ演じるジュリアンが、俺も、俺もだ、と悶える顔面ドアップの切り返しシーンで幕開ける。一瞬にして、2人の愛の渇望の激しさと、これが不倫の愛であることがわかる、ステキ過ぎなシーン。こっからマイルスデイビスのsuperかっちょいいジャズが流れ、フロランスがパリの街を彷徨する何ともオシャレなオープニングクレジット!!! 最初からしびれるやん! 全編2人のなんとも言えないアンニュイな感じが最高なのです。影の濃い男ジュリアンは、不倫の愛のために、フロランスの旦那で自分の上司である男を、職場のビル内で自殺に見せかけて殺害。そこまではうまくいくのだが、その直後、終業時間後の閉館に伴うすべての電源オフのため、オフィスビルのエレベーターに閉じ込められてしまう。これじゃ殺害後すぐに落ち合うことにしてたフロランスに会いにいけないではないか。焦るジュリアン。一方待てども待てども待ち人来ぬフロランスは、耐えきれなくなってパリ放浪。彼女はほぼ全編気怠い表情でふらふらしてるだけ。なのにすごく画になる!!! さすがジャンヌ!!! で、別にもうひと組、若い、頭弱そーなカップルがジュリアンの高級車を盗んで、ドライブに行って、モーテルで出会ったある男を殺害してしまう、というストーリーが同時進行。この2組の殺人カップルが一体どういう結末を迎えるかが対比的に描かれていき、それ自体面白いっちゃ面白いんやけど、それ以上に、怖いくらい冷ややかな映像と気だるいジャズのマリアージュに、たまらなくゾクゾクくるのであります。特にラストシーンはもー最高としか言いようがないね。ほんの一瞬の間に見せるあまりにも鮮烈で残酷なコントラスト、こんなの他に見たことがないよ。ビリビリきたよ! 本作は今後も繰り返し見ると思う。ルイマルの作品の中ではこれが一番好きな気がする。映画としてもっと見応えのある作品はあるけど、好きなのはこれだなー。何かなー大人なムードがめちゃめちゃいいんだなー。出てくるやつらの後先何も考えてなさはぜんぜん大人っぽくないんやけど笑 見ててホントに面白い。てか、ひと時ののぼせがりな恋愛で人生パーにしちゃもったいないよ。There’s more to life than that.
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