ちろる

死刑台のエレベーターのちろるのレビュー・感想・評価

死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)
3.8
タイトルからもっと重々しいものを想像して敬遠してたけど、こんなお間抜けな犯罪のお話だったとは。
この作品の見所はとにかく美しきジャンヌモローのオープニングのアップの美しさと、悲壮感に漂う彼女がマイルズ ディヴィズのジャズとともにパリの街を彷徨う描写につきる。
エレベーターに閉じ込められるジュリアンの冷静さと、計画殺人の杜撰さとのバランスの悪さは色々ツッコミを入れたくなるレベルだが、それ以上にジュリアンの車を盗んでボニー&クライドばりの破天荒さを繰り広げるルイに対しては口あんぐりでした。
所々の脚本の粗はご愛嬌としても、
巨匠ルイ マルがまだ25歳の頃に低予算でなんとか作ったヌーヴェルヴァーグの代表作とだけあり、愛し合うジュリアンとフロランスがただの一度も同じ画面に並んで映ることないままにストーリーが繰り広げられるという演出はとても良い。

現代に観るならば、サスペンスとしてではなくサスペンスコメディとして観たほうがいいのかも。
ストーリーではなく、ジャズトランペットの奏でる音と50年代パリの全体的な洒落乙感がこの作品の魅力でもあるため、現代よリメイクものでは再現できないと思うので本家本元以外は必要ないんではないなと、、感じております。


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