キャッチ30

死刑台のエレベーターのキャッチ30のレビュー・感想・評価

死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)
4.0
『インファナル・アフェア』でエレベーターは地獄への入り口を象徴していた。今作でもタイトルの通り、エレベーターの役割は同じだ。

社長夫人のフロランスと社長の部下のジュリアンは不倫関係にある。二人は電話で互いの愛を確認し合い、社長の殺害を決意する。手際良く殺害に成功したジュリアンだが、証拠であるロープの始末の為に会社に戻る。しかし、運悪く管理人が電源を切ってしまったせいでジュリアンはエレベーターに閉じ込められてしまう。そうと知らないフロランスは夜の街を彷徨い、そこにチンピラのルイと花屋のベロニクが加わる。

冷静沈着なジュリアン。胸に情熱を秘めているフロランス。短絡的なルイとベロニクのカップル。三者三様の物語が展開されるなか、彼らは些細な出来事の積み重ねによって破滅への階段を登っていく。

監督のルイ・マルは大仰にせず、クールな姿勢を貫いている。夜のパリの街並みやカットバック、マイルス・デイヴィスのジャズもクールさを際立たせている。私がイメージするフランス映画はこうではなかったか。