タキ

死刑台のエレベーターのタキのネタバレレビュー・内容・結末

死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ミステリとしての作りは雑。昼日中に大通り側の窓から上へロープ使ってよじ登るのはどうだろう丸見えじゃないか。しかもその始末し損ねたロープがなぜか外に落ちていて知らない子どもが拾って持ち帰っていた。さすがに都合が良すぎる。
しかし同時進行で起こる2つの事件をカットバックで見せていく手法とマイルス・デイビスの音楽がすごくお洒落。
ジャンヌ・モロー演じるカララ夫人のドアップのジュテームからの仏頂面、とにかくずーっと仏頂面からのラストの絶望顔。一方の不倫相手モーリス・ロネ演じるジュリアンもジュテームか真顔か焦ってるかの表情ぐらいで、このふたりの写真の中だけの楽しそうな笑顔が印象的だった。2人のツーショットのシーンがこの写真しかなかったのも夫殺しが別離の始まりとなることを思うと象徴的。でもあのラブラブ写真は誰が撮ったんだろう。今だったら自撮り棒で撮りそうな写真だった。一般人がカメラ自体を持つことが珍しい時代に犯罪を暴くカメラというのは最先端のオシャレアイテムだったに違いない。お洒落映画のなかに落とし込まれる戦争の名残りがピリッと辛いエッセンスとなっている。
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