菩薩

死刑台のエレベーターの菩薩のレビュー・感想・評価

死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)
4.2
愛故に目論んだ完全犯罪はその愛故に破綻する、と10年程前の俺が書いていたのでそのまま使わせて頂くが、この場合の愛とは二人三脚の障害物走である、なんていらん事を追加させて頂こうと思う。別に殺さんでえぇやん、と言ってしまったら元も子もないし、テンパってるからって車のキーは持ってけや、なんてのもきっと野暮であろうから言わんでおく、マイルスで何好きか聞かれたら「On The Corner」かアガ・パンと答えてしまう俺にはサントラに関しても語る言葉を持たない。上下運動が停止し監獄と化した四角い箱の中に幽閉され身動きが取れない男に変わり、女は雨に打たれ不安に苛まれながらも夜の街の徘徊し続ける。足と武器を手にしたまだ愛を知らぬ若き男女は過ちを犯し、永遠を夢見てかりそめの眠りの中に落ちていく。浮かび上がる写真の中には引き裂さかれる筈は無かった二人、貴方のいない朝を迎え、貴女の横で眠れない夜が、私達二人に死刑を宣告する。
菩薩

菩薩