武骨な銃が呼び起こす物語。
その昔、一体何が有ったのか…
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尺八の音をバックに、山をかける浪人。
山深い山林に囲まれて、鳥居から見上げるように続く参道の石段。
鳥居にて一礼、そして引き寄せられるように歩みを進める。
腰に刀を携え、走ってきたこの男に視線が集中する。
音が、音楽が、後押しをするようでもある。
境内に男が一人、また一人。集まってくる。
帯刀の者たちに続いて、農具や火縄銃を持ったものまで。
気勢を上げる。
そして、互いの意志を確認した上で、向き直る。
刀を抜き、あるいは銃を構える。
そして、男が、懐から短銃を出して構える。
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一体誰なんだ、この男たちは。
構えた相手は一体何？
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一丁の短銃が、かつて辿った場面。
かつて、男たちが戦った。
その息吹を短銃が伝えた。
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それにしても、この映像力。
尺が長くないと言うこともある。
スクリーンで歩みを進める渋川清彦の姿が、時の流れを奪い取っていった。
そして男たち一人ひとりの姿が、力ずくで掴みに来る。
あっという間に虜になって。
気がつけば、静かな春の陽射しの中だった。
なんとも、恐るべき捕獲力。
捕まったら、逃げられない。
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豊田利晃監督狼蘇山三部作より。
DOKUSO映画館にて鑑賞。
