とも

アルプススタンドのはしの方のとものレビュー・感想・評価

5.0
"しょうがないって思って、受け入れなきゃいけないことってあるよね"

夏の甲子園大会1回戦。アルプススタンドのはしっこで試合を見つめる4人。夢破れた演劇部の女子2人。レギュラーを取れず辞めた元野球部。模試で学年一位を明け渡してしまった優等生女子。
「しょうがない」と最初から諦めていた彼女たちだったが、それぞれの想いが交差し、先の読めない試合展開と共にいつしか熱を帯びていく…

東播磨高校演劇部が上演し、全国高等学校演劇大会で最優秀賞に輝いた名作戯曲を映画化。高校演劇とはここまでレベルが高いのですね。僕のハートにどストライクでした。満点付けちゃいます💯

グラウンドでのプレーが一切映らない野球映画。終始会話劇です。野球のルールをよく知らない女の子にはああいうふうに見えてるんですね。今後の勉強になりますφ(..)

この野球映画の主役は野球部員だけではありません。球場にいる吹奏楽部、応援団、先生、一般生徒、そして気付けば映画を観ている僕たち観客まで、みんなが主役になっていました。


話変わって、高校野球と僕。

小さい頃から野球を見るのが好きで、地元県が出る時はテレビにかぶり付いて見てました。うちの県、結構野球強いんですよ。

今から1X(ばきゅ~ん)年前、僕にも高校時代がありました。勉強ばっかで決してキラキラしたものではなかったですが。進学したのは近畿屈指の野球強豪校。兄弟校と合わせて甲子園の常連です。人文字とか作るところですね。魔曲も有名です。

僕の在学時代にも甲子園に出場しました。もちろん全校応援(受験生は自由でしたが)です。1回戦を大勝して、2回戦は大会屈指の豪腕投手を擁する強豪。甲子園史上最速を記録し、後にドラフト1位でプロ入りした怪物が相手。

隣の席のクラスメイトは「流石に今日は無理やろ~」と初めから諦めていました。この映画のすみっコちゃんと同じです。
ですが、好ゲームの試合が進むにつれ、彼の応援の声が大きくなりました。得点すれば両手を挙げて喜び、ヒットを打たれればメガホン叩いて悔しがる。彼だけでなく全校生徒・先生がそうなってしまうのです。それが全力で戦うことの魅力なのでしょう。

強打が炸裂し、試合に勝利。甲子園で歌う校歌ほど、高揚するものはありません。自分は母校愛なんて持ってないと思っていたので不思議でした。僕が試合に出たわけでもないのに、すごいですね野球って。


映画に戻ります。

この映画には「 頑張っても報われなかった」、「努力しても誰にも誉められなかった」生徒たちがいます。彼女たちは「しょうがない」という尤もらしい理由で諦めてしまっているのです。「しょうがない」はもはや呪文のように聞こえます。
諦める理由はすぐに見つけられるけど、続ける理由って簡単には見つからないんですよね。

そんな彼女たちの殻を、諦めずに戦う野球部員たちがぶち破る姿に涙が流れました。それは僕も昔殻をぶち破れた一人だからかもしれません。気付けば4人や他の生徒・先生と同じように見えない球児たちを応援していました。最初に持った「球場が甲子園やなくて、地方球場やん!」って気持ちはもうどうでも良くなっていました。

自分の気持ちを届けようとする応援という行為の尊さを再認識できました。夢を諦めてしまった人たちを否定や叱責するわけではなく、そんな人たちに寄り添うとても優しい映画でした。

このコロナ禍でいろいろと奪われてしまったけど、「しょうがない」なんて言えへんな。

⚠️お~いお茶は譲れないそうですが、僕は生茶派です!!