前髪メガネ

アルプススタンドのはしの方の前髪メガネのレビュー・感想・評価

3.9
元々は高校の演劇の戯曲が原作で、それをプロダクションがリメイク公演。なので本作は理メイクのリメイクといった立ち位置。
そうは言っても物語は映画映画せずに戯曲のように会話劇で進行するし、台詞自体も演劇のようなのが印象的。しかしそれも悪い影響では無く寧ろ目が散らずに楽しめたので恐らくあえて狙ったような気がする。

野球のルールも知らずに強制参加の野球応援に連れてこられて愚痴をこぼすあすはにはそのまんま高校時代の自分が重なった。
主人公たちと同じく野球のルールも知らない自分は高校時代そもそも普通科とスポーツ科が別の区の校舎の高校に通っていたから野球部なんて誰一人として関わったことも無いのに、地区予選の3回戦目からは吹奏楽以外も全校生徒強制で都心からわざわざ高尾まで実費で行かされ、知らない野球部同士の試合を応援させられるというハラスメント以外の何ものでも無い野球応援という夏のトラウマがあったのでこの映画を知った時には親近感が芽生えたし、映画の冒頭ではわかるわかる〜!の嵐でした。

この作品でも妙に熱くなる教師が出てきてただ連れてこられているだけの生徒と温度差も上手く表現されていて終始あるあるだなぁと感じられる作品でした。
メインの4人もそれぞれの役割があり少数で会話劇なのに飽きずに見られたは良かった。
4人が野球応援の楽しみ方を徐々に理解していく展開の中、冒頭で完全シンパシーを感じていた自分としては取り残されていく感じがしてなんだか寂しくなり、あの4人の世界線に行くことができないまま生きていくんだなと思うと少し悲しくもなりました。

面白かったのでいつもの様に監督とかを調べましたが、監督普段はピンク映画やバイオレンス映画ばかり撮ってる方なんですねっ💦それでこの振り幅は凄い。今後はこういった作品も撮っていくのでしょうか?楽しみです😌
前髪メガネ

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