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アルプススタンドのはしの方のfoochthepopのレビュー・感想・評価

3.7
めちゃ推されてたので観てみた
良いんだけど、自分には期待したほどは響かなかった

その理由は多分、「桐島」との類似点が多く、どうしても脳裡を過ってしまったからだと思う

「桐島」を観て衝撃を受けた頃の僕は25歳で、学生相手の仕事をしていたこともあり、まだ感覚的には若かった、若者の気持ちが分かると認識していた
そんな中で観た「桐島」は、鳥肌が立つほど生々しいドラマであり、本当に高校生の人間模様を見ているかのようでゾクゾクした

その「桐島」と比べてしまうと、本作は至る所がベタであり、リアリティには少々欠けると感じた(それは僕が歳をとったからなのか?)
逆に10代で「桐島」を観てたらどう感じただろうか?もし現役生だったら「こんなのリアルじゃねえよ」とでも感じたのだろうか、それは分からない

ていうかそもそも、本作はベタであることが持ち味でもあるだろうから、閉鎖的な人間関係がもたらす張り詰めた空気を描いた「桐島」と比べることはナンセンスなのかもしれない

などと考えると、意外と「アルプススタンド」は40〜50代くらいが一番刺さるんじゃないか、と思った
ベタだし、青臭い若者を応援したくなる映画なので

あるいは、二十歳くらいの大学生(OBとして夏休みに母校を訪問し、現役生の学校生活を少し遠いものに感じて感慨にふけるような若者)ならよく沁みるかもしれない
つまり、学校の中の緊張感から解放され、記憶が多少美化されたような人ならば

ここまで、ややネガティブな文章になったかもしれないが、宮下さんの声には魂を感じたし、自然とチームを応援したい気持ちも湧いてきたし、ジワジワと醸成されていった一体感に、自分も体半分くらい加わった
胸がアツくならないわけがない(これを観てアツくならない人はそもそも劇場まで本作を観に来てないと思う)

そのムードを作った1人は、間違いなく厚木先生だと思う
序盤からウソみたいに暑苦しい熱血同調押し付け教師で見ていて興醒めしたものの、何度も登場してくる内に、彼を見る目が徐々に好意的になっていった
ベタを受け入れない僕をこじ開けて顔を割り込ませてきた
「継続は力なり」か、ザイオンス効果か

なお、野球経験者にとってはツッコミどころがちょいちょい出てくるので、野球に詳しくない人の方が楽しめそう

あと、この尺の短さは潔くて大変素晴らしい、僕は100分を切る映画が好きなので

最後に、黒木ひかり可愛い
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