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アルプススタンドのはしの方のKaZuiのレビュー・感想・評価

3.8
💬原作は、高校演劇の同名戯曲。キャッチコピーは、「そこは、輝けない私たちのちょっとだけ輝かしい特等席。」。夏の甲子園の1回戦、全校応援をするなかで、アルプススタンドのはしの方の席に集まった演劇部の宮田あすは(演:小野莉奈)と田宮ひかる(演:西本まりん)、元野球部の藤野富士夫(演:平井亜門)、帰宅部の宮下恵(演:中村守里)をメインに映し出す。まず、作品の内容について。高校演劇の名作だけあって、ストーリーは面白い。野球部や吹奏楽部を1軍とするなら、「しょうがない」と色々なことを諦め、応援をすることもなかったはしの方の彼らは3軍といったところ。それでも、エースの園田、そして、(野球部における3軍の位置にいる)補欠の矢野など、一生懸命な野球部の姿に背中を押され、精一杯の声で「頑張れ!」とエールを送る。私は、高校演劇も好きなのだが、「らしい」台詞の掛け合いや笑いどころが設けられていて頬がゆるんだ。次に、高校演劇を映画という媒体で表現することについて。甲子園球場での撮影許可がおりなかったのは非常に残念だが、舞台が野球場であることをビジュアルとして見せるのは良かった。私も高校時代は、野球部の全校応援に行ったことがあり、そのときの空気感が蘇った。それでいて、グラウンドを一切みせないのは、あくまでこの物語における主役は"輝けない彼女たち"だといっているようで好き。さらに、各々が思い描く全校応援時のグラウンドを脳内で再現できるのも良い。また、原作における登場人物は、上述した4人のみだが、映画では熱い教師の厚木修平(演:目次立樹)、吹奏楽部の部長で勉強も学年トップの久住智香(演:黒木ひかり)が主な登場人物として加わる。「一生懸命な人」、「真ん中の苦悩を知っている人」をあえて描いたことで作品のテーマに深みが出ていた。

初鑑賞:2020年8月1日
鑑賞方法:映画館(サツゲキ)
2020年181本目。
8月2本目。

🗣アルプススタンドのはしの方の席で一緒に応援したいし、鑑賞後、ブラバンの演奏がずっと頭の中で流れています。ちょっと『ポテチ』を思い出しました。ちなみに、『アルプススタンドのはしの方』のパンフレットは、情報量多くてコスパ最高なので買って正解です。
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