このレビューはネタバレを含みます
泥棒にハマっていく男の話。
主人公は尾行を趣味にする、作家志望の若者。
この時点で興味をそそられますが、そこから妙な哲学を持つ泥棒の男と知り合い、泥棒の世界へと足を踏み入れます。
本作の特徴となるのが、時系列をシャッフルしている事。
特に序盤は、繋がりの分からない描写が出てくるので混乱させられましたが、構造を理解してからは段々と面白くなっていった感じ。
過去と現在を行き来するので、その空白の期間に何があったのか気になってくるし、謎が明らかになった瞬間はスッキリするしで、ミステリー的な面白味のある作品でしたね。
終盤に掛けては「えっ!」という、どんでん返しも用意されており、繰り返し見ると、また新たな発見があるのかもしれません。
モノクロで70分の低予算映画ではありますが、時間や現実に対するオブセッションという、後のノーラン作品に繋がるテーマが濃密に込められており、「デビュー作には全てが入っている」という言説を証左する一作と言えるでしょう。
クリストファー・ノーラン監督のデビュー作として、映画ファンなら是非チェックしておきたい作品です。