いや〜、面白かった。
凝ったストーリー、雰囲気ある映像と劇伴。凄いなあ、ノーラン、初長編にしていきなり完成度の高いものを創り上げていたんだなぁ。
20数年前のクレジットだけれど、まるで40-50年代が全盛期のフィルム・ノアールを観ているような気分になる。高機能なデジタル機器は使われていないだろうアナログのレトロさが感じられる映像になっている。それでも、HDレストアの映像には絶妙な塩梅のキレがある。
時系列をバラすことで生まれる謎めいた展開に観るものは当初、混乱するけれど、にもかかわらず惹きつけられもする。
どこか江戸川乱歩や「裏窓」「黒衣の花嫁」などの原作者コーネル・ウールリッチのサスペンス作品に似た寂寥感を覚えた。
欧米作家ならともかく、なぜ江戸川乱歩なのかーー上手く言葉で言えないのだけど、作家志望の孤独な青年が危険を顧みず好奇心の赴くまま犯罪に染まっていく様は「屋根裏の散歩者」あたりを思い出す。
70分があっという間というレビューが散見されるけれど、私は逆に90、100分くらいに感じた。ノーランに時系列を組み換えられて、実際にはない余白が感じられたのかもしれない、、、