おはうち

サヨナラまでの30分のおはうちのレビュー・感想・評価

サヨナラまでの30分(2020年製作の映画)
3.5
事前知識ゼロで観に行ったから、まずSF要素に驚いてしまった。連想したのはスピルバーグ『オールウェイズ』。月明かりに照らされながらピアノを連弾するシーンが良かったって、つい最近『蜜蜂と遠雷』でもあったな。連弾する二人は同じマインドだから連弾時に指をぶつけてしまうのも上手い。

何故カセットテープに拘ったのか。テープの構造だと過去と現在の情報を重ねる事ができる。この小道具で過去と現在を同時に体現できる。過去に走った道筋を、現在になってまた走り抜いていく。同じ道なのに走り抜く時間が異なる事で幾重にも意味が重なるのを、野外ステージまで走り抜く様子でよく分かった。

一番興味深くて面白かったのが、最後までゴーストが存在する事実を伏せてしまう所で、当のゴーストが事実を隠してしまう共犯者になること。このゴーストは過去を完全に割り切るが、最後まで自身の存在を引き伸ばして、後継者に目一杯に姿を焼き付けてからバトンタッチしていく流れが良かった。
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