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背徳と貴婦人のtanziのレビュー・感想・評価

背徳と貴婦人(2017年製作の映画)
2.9
ファン・ビンビン主演。
乾隆帝の2人目の皇后、継皇后の孤独感を美しい映像で切り取ったフランス映画。

大陸の後宮ドラマがどこまで当時の紫禁城の風俗やしきたりに忠実かは分からない。

けど、どこにいても常にお付きがゾロゾロおり1人でいることすらままならない残酷な籠の鳥感を思うと、皇后の身でありながら庭にたった1人で佇むとか画家の落とした何かを皇后自らしゃがんで取ろうとするとかあり得ない!
侍女の皆さんは描いてる絵を並んで覗き込むくらいなら、ちゃんと仕事しろ!と思ってしまうのがノイズになってしまった。

男性である画家に肖像画を描いてもらう間、その眼差しに胸がかき乱される感情は理解できる。
熱くまっすぐ自分を見る事の許された男(宦官は男にあらず)など皇帝以外にはいないのだから。

皇后の寂寥は伝わったけど、そこに至る不幸の本質はかように過酷なのだという説得をこの映画は放棄してしまいましたね。

あと、衣装道具美術に予算をかけているとは思うのですが、近年の目も眩むほどの豪華な大陸産後宮ドラマを見慣れてると地味に感じてしまった。
こればかりは、如何ともし難い。

あえてこの作品に出演したファンビンビンも、継皇后のように『西洋の』肖像画を描いて欲しかったんだな。

太監の金士杰はとても良かったです。

日本版のポスターは最悪。フランス版の方が100倍くらいよい。
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