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ソワレのmasayaのレビュー・感想・評価

ソワレ(2020年製作の映画)
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思いがけない、でも運命的としか思えない出来事をきっかけに始まる男女の逃避行。愚かで刹那的かも知れない、ただ、二人にはその出会いとその旅こそが苦しみの生における希望だった。ロケ地紀州は美しかったけど、その逃れられない閉塞感がこの時代の象徴に思えた。

物語は破滅に向かうべくして向かい、道成寺、安珍清姫を演じるエピソードに宿縁という言葉を思い起こす。最後に彼女は言う。また私を見つけて、と。

村上虹郎さんはもちろんW主演の芋生悠さんの存在感、生々しさが素晴らしい。映画館の案内文で新人とされていたけど、彼女の出演作既に3作くらい観てる気がする。この人は来ると思います。むしろもう来てます。

ソワレの二人の旅はとても拙く危うくて、交通機関もほとんど使わないしついには県境すらも超えない。その不器用さ、社会との断絶が悲しかった。逃げても逆転は無い。でも、その引き延ばされた時間こそが二人には必要だったのかも知れない。
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