氷雨水葵

SEOBOK/ソボクの氷雨水葵のレビュー・感想・評価

SEOBOK/ソボク(2021年製作の映画)
3.7
2023年リライト11本目

◆あらすじ
元情報局のエージェント・ギホン(コン・ユ)は、脳腫瘍を患い余命わずかと宣告される。

ある日、そんなギホンのもとにやってきたのは、元上司アン部長(チョ・ウジン)。

ギホンは、人類初のクローン人間ソボク(パク・ボゴム)をテロから守り、安全に護送してほしいという任務を任されるが―――。

◆感想
唐突に再鑑賞。劇場で観た時も思いましたが、SFアクション映画なのに泣ける!切ない!

コン・ユとパク・ボゴムの演技がとにかく素晴らしく、終盤に近づくにつれてギホンとソボクが本当の兄弟のようになっていくのが良いっ!!序盤ずっとソボクに怒ってばかりだったギホンが、ソボクと過ごす時間を通じて、だんだん人間らしくなっていくというか、「死んでもいい」スタンスから少しづつ変化していきます。ソボクもまた、ギホンと行動することで過去と向き合い、最後はギホンのために力を解放するという、なんとも切ない結末。「どちらかしか生き残らない」という先読みできる脚本だけど、ならばせめてギホンの手で、、、っていうのが、もうたまらないのよ…。泣くしかねぇ。

ギホンを演じたコン・ユの演技良かったです。正直『新感染 ファイナル・エクスプレス』しか観たことなくて、他の作品も観たいなぁと思ってはいるのですが💦
げっそりやつれ、憔悴しきって登場のギホンさん。でもこういう、なんというか今にも死にそうな感じで登場するキャラクターって結構好きなのですが、共感してくれる方いませんか?
「こんな人がソボク守れるの?」と思った方、ご心配なく。銃構えてるコン・ユかっこいい!ちょっと小汚い感じだけど、ちゃんとソボクのこと守ってます!
まぁ、過去にいろいろあって精神病んでるけど、そのキャラクター性も本作のミソ。そもそも余命わずかのギホンが「自分が助かるため」と思い任務につくのですが、ソボクといることで少し価値観が変わっていくんですよね。

ソボクを演じたパク・ボゴムの演技も良くて、クローンらしさ(?)というか、そういう雰囲気を醸し出してて、ギホンとの距離感も良い。ギホンが怒りっぽいから、余計にソボクの機械っぽさが目立ってたのかも。
「兄さん」と呼んだのは終盤のみだったけど、運命が違えば本当の兄弟になっていたかもしれないのに…。最初は、自分の存在意義を見出すためにギホンと行動していたのだろうけど、次第に「生とは」「死とは」を理解していくソボクの姿に切なくなります。
ラーメン美味しかったのか、3杯も4杯も食べちゃうソボク可愛い。それに振り回されてるギホンさんも良い。てか、服似合いすぎじゃないソボク!?

全編アクション満載じゃないところが、本作の見どころ。生と死の意味を問う、2人の男たちの切ない運命を描いているところを観てほしいです。アクションシーンがなければ、上質なロードムービーのようにも思えますね。

人間が恐れる’’死’’と、誰もが求めるであろう’’生’’、対極だけど巧みにどちらも描いている作品です。韓国映画独特の重みがあって見応え👍
氷雨水葵

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