あちぴろ

SEOBOK/ソボクのあちぴろのレビュー・感想・評価

SEOBOK/ソボク(2021年製作の映画)
4.0
軽ーい気持ちで観始めたのに、最後は無茶苦茶考えさせられる映画だった。

「人の死の倫理観」に投げかけられる映画だった。

不治の病に罹り余命わすかの元諜報員ギホン(コン・ユ)。生への希望を抱える彼に舞い込んだ人類初のクローン人間ソボク(パク・ボゴム)の護衛。
ソボクを護りなから交流の中で芽生える友情、ソボクはギホンを助けてあげたいとさえ思う様になる。ソボクのIPS細胞からギホンの病を治すことができるからだ。しかし、そんなギホンにも初めこそその目的だったが、ソボクの人生を知ったことで考えが変わる。
そんな中、ハゲ散らかした大企業のジジイが現れる事で、事態は思わぬ方向に向く。

ラストの25分は爽快。
ソボクが無双。
一度持ち上げてから叩きつける。

が、しかし。
悲しい最後が待ってるのは、それまでのボゴムの笑顔に癒されたオジサンは辛かった。

生きながらえる事が可能になったとしても、あんな金持ちのジジイが生きたところで、私利私欲しか考えない奴ばかりだろうし、死なない人間が溢れ返ったらこの世はどうなるんだと考えてしまう。
ギホンも生き延びたとしても後悔ばかりで幸せな人生を送れるのかどうか。

予期せぬ事故や人に殺されたりという人生の最後は別として、寿命として終わる人生を無理に延命させることは果たして正しいんだろうか。
医者のおかげで生きる事が出来る人もいるので一概には言えないけど、無理な延命に希望は見出せるのか。
と、小難しいことまで考えてしまう。
「人魚の眠る家」に近い「生死」について考えてしまった映画だった。
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