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アメリカン・ファクトリーの一のレビュー・感想・評価

アメリカン・ファクトリー(2019年製作の映画)
3.9
アメリカにある中国企業の工場について描いたNetflixオリジナルドキュメンタリー

オバマ夫妻が立ち上げた制作会社ハイヤー・グラウンド・プロダクションズによる第一作

オハイオ州で閉鎖されていた工場が中国企業により再開され、地域の期待が高まったのも束の米中文化の衝突により、再びアメリカンドリームが打ち砕かれる…

『オクトパスの神秘』を観て、去年のアカデミー長編ドキュメンタリー賞受賞作を観ていなかったことに気づいたので今さらながら鑑賞

観るまではあまり惹かれない題材だと思っていたけど、蓋を開けてみればめちゃくちゃ面白いドキュメンタリーで、時間を忘れるくらい見入ってしまった
社会派映画でもギャグテイストな描写もあるので全然敷居は高くないかと

笑っちゃうくらいアメリカと中国の国民性が顕著に表れていて、政治や武力を行使した対立ではなく、単純に正反対の性質なんだなぁと文化や価値観の違いをまざまざと見せつけられた感覚
今現在も米中関係はあまりよろしくないけど、この映画ではまさにその縮図が工場内に出来上がってるというのが面白い

結果的に中国批判に繋がるような作りになってはいるけど、客観的にみてどちらが正しいとかではなく、監督もどちらか一方に干渉したりはせずに、あくまでも中立な立場で淡々と捉えているのも好印象

半額以下の低賃金となりながらも生産性を過度に重視する鬼畜のような上層部
酷すぎる労働環境でも何一つ不満を漏らさず、さも当然のように働く中国人の図太さ、というかそれが当たり前の国だから仕方ないのかな
それにしてもあまりにも働き方にギャップがあるので観ている分には面白いけど、仮にも当事者になったら堪ったもんじゃないでしょう
そもそも組合作らせないためのコンサルタントってなんだよ…

いろいろシュールなシーンもあったけど、朝礼をポカーンと見つめるシーンが一番面白かったし、そんなオチありかよというコントみたいな展開も、笑っちゃダメだけど笑っちゃった

文句なしに素晴らしいドキュメンタリーなんですが、正直『娘は戦場で生まれた』や『ハニーランド』を抑えてまで受賞するような作品とは思わなかったかな
多様性を重視したのであれば仕方ないけども

〈 Rotten Tomatoes 🍅96% 🍿80% 〉
〈 IMDb 7.4 / Metascore 86 / Letterboxd 3.6 〉

2021 自宅鑑賞 No.261 Netflix
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