牧史郎

アメリカン・ファクトリーの牧史郎のレビュー・感想・評価

アメリカン・ファクトリー(2019年製作の映画)
4.0
この映画では「文化の対立」として切り取られているけれど、根本は普遍的な労使の関係なのではないか…と後半にいくに従って思えてきた。

中国はディストピアのようにも見えるけど、彼らとしては全く悪気がないからこそ、このドキュメンタリー作品を世に出すことに反対しなかったのだろう。

そういう意味において、中国企業の会長が孤独や葛藤を吐露する場面は凄く印象に残った。「自分は半分は罪人なんじゃないか」。これは中国に限らずアメリカだって日本だって、経済至上主義で突っ走ってきた先進国の成功者の多くが感じるべきものなんじゃないか。その客観的な視座があるだけ、この会長は少なくとも馬鹿な人間ではないことは分かる。それさえも何らかのカモフラージュなのかもしれないけど。しかし、一方で人を部品のように扱うわけで。複雑だな…。
牧史郎

牧史郎