クルードス

アメリカン・ファクトリーのクルードスのレビュー・感想・評価

アメリカン・ファクトリー(2019年製作の映画)
3.8
2020年アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞受賞作。

中国企業がアメリカに工場を作り、労働者を現地採用して運営を始めるが問題が多発して…というドキュメンタリー。

現場のアメリカ人と中国人同士はいい関係を築ける人もいるが、中国企業とアメリカの労働者は正に水と油と言える相性の悪さ。
お互いの主張が真っ向から対立する。

アメリカ人の労働組合運動をする人達はとにかく主張が強い。
「アメリカの文化は褒めて伸ばすから、彼らは自信満々で時には過剰だ」というのは、へーっと思った。
アメリカ人全員がそういう訳では無いだろうけど、主張の強さと強い自信はワンセットだもんなあ。

中国企業の本国での実態は、休みが少ない、労働時間が長い、軍隊のような点呼を取る、社歌を歌う、変な感じの会社のパーティーを行う等、キワモノとして紹介されてるように見えたけど、これって日本企業っぽいなあと思った。
前時代的だけど、既視感がすごいある。

このドキュメンタリーは色んな立場の人の視点があるから、観る人によって感想は全然変わると思う。

個人的には、色んな問題がありながらも、人種を越えてリスペクトを忘れずに働くアメリカ人、中国人労働者に共感した。

でもラストの工場の機械化に関する話は何とも残酷。
でもそれが今後の流れなのだから、どうしようもない。
自分の身は自分で守るしかないと改めて思わされた。