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少年の君の小のネタバレレビュー・内容・結末

少年の君(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

久々に感想を書きたくなる映画だった。『乱世備忘 僕らの雨傘運動』で香港の反政府デモのことを知り、『十年』で“香港人”のアイデンティティーに触れ、2019年からの香港の民主化デモに共感した自分にとって、刺さるものがあった。

いじめ問題をテーマにしているけれど、ヒロインが警察官から離れ、チンピラに近寄っていくあたりから、香港のことを描いているようにしか思えなくなってきた。

大きく分ければ、警察(権力)・いじめる側(強者)は中国で、チンピラ(アウトロー)・いじめられる側(弱者)は香港。映画鑑賞を通じプチ“香港人”的心情になっている自分にとって、印象に残るセリフが後半続々と(以下からのセリフは大体こんな感じで正確ではありません)。                                                               

1.「誰が助けてくれるのか。」

2.「そんな“もし”は嫌いだ。」

3.「(●●後は)怖かったけど、今は怖くない。」

4.“This used to be our playground.” “This was our playground.” “This is our playground.”

1.は民主主義国家の国民である自分にグサッとくる。2.は後悔はしたくないという決意表明に感じる。3.と4.は希望を感じさせるが故に、今聞くと切なくなる。

本作の現地での公開は2019年10月25日と香港の民主化デモの真っ只中であることを考えると1から4のセリフはデモをする人々の気持ちのようにも思える。

監督の真意は知らないけれど第39回香港電影金像奨で作品賞、監督賞、主演女優賞など8部門を受賞ということから見ても、号泣した“香港人”は多かったのではないか、という気がする。
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