VANVAN

少年の君のVANVANのレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.4
「画面の密度が高いヘビーな映画、中国の隠された真実が暴かれる」

貧困ながら進学校で必死に大学受験を目指す少女と
ストリートチルドレンの少年との恋物語。

モチーフとしては使い古された設定かもしれないが、この映画が描いているものはただの青春純愛ではない。
中国が抱えているイジメ、格差社会、貧困生活、加熱する大学受験と学歴社会。
共産主義であるはずの中国ではこれらは認められることができない事実であり、それを真向から描いている。

<ポイント>
・主人公演じるチェン・ニェンがちゃんと高校生にみえる。
 26歳なのに恋人のシャオベイよりも若く見える
・高低差のある地形と格差社会を表したアングルが多く、一つ一つのシーンが心に残る
・学校のシーンの陰鬱な感じが受験戦争の過酷さを表している
 特に飛び降りがあったことにより格子が張られた廊下はまるでこの苦行から逃れられない牢屋のようで
 受験後に白い紙が舞い散る中庭での解放された状態との対比がより明確になっている
・東野圭吾の白夜行との類似がとりざさたれているが、盗作とまでは言い難いと思う
 白夜行もすごく好きな作品で、確かに相通ずるところはあるがメッセージは異なるのでそこはあまり気にならなかった。
 人物設定はあくまでも手段の話であってお互い描きたいものがあって、その手段がたまたま被っているところがあった、という程度かと。

兎にも角にも印象に残るシーンが多い、ネタバレになるのであまり言えませんが
誰しもが心に残るシーンがあるはずです。
それは美しいシーンであったり、残酷なシーンであったり、息を飲むスリリングなシーンだったり、胸をしめつけられるようなシーンであったりと
観ている人になんらかの爪痕を残す映画であることは間違いないと思います。
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