まこと

スーパー30 アーナンド先生の教室のまことのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

知を伝える。
これがキーワードのように感じました。
アーナンド先生と生徒達との授業は明らかに知識を伝え、考え方を伝え、思考をポジティブに持っていくことも荒療治も使いつつ教えます。
しかし実話を元にしていることを感じられるのは、負の知識が伝わっていたことで、子どもたちがテストでお金持ちの子と自分を比べ劣等感を覚えたり、王は王の子にしかなれないという考え方が常識のように取り扱われている。これもまた知の伝承の1つであり、階層社会の強固さ、覆せない運命が当たり前にあることを、子どもたちも生まれながらに伝えられてきました。
これを跳ね除け、アーナンド先生のように「俺は跳ぶぞ」と宣言することは容易ではありません。
しかしアーナンド先生ももともとそこまで奮起の念に満ちていたわけではない。大きい影響の1つとして、お父さんが最初に王は王の子しかなれない、そんな時代は過ぎた、能力のあるものが王になる、と教えたことがあります。
これもまた知の伝承でした。
伝えられるものは、その広がりが大きければ大きいほど影響力も大きくなります。
根づいた自信のなさはどれほど暗い影響を受け、こんなに自分をちっぽけに見せてしまうのでしょうか。
しかしそこから藻掻く力もまた、誰かが教えてくれることがあります。
アーナンド先生が子どもたちに教えたように。お父さんがアーナンド先生に教えたように。そして、映画でフッガーが私たちに教えてくれたように。
叶えることを諦めるな、とは言っていません。アーナンド先生も諦めたものがありました。
しかしこの映画は、叶えようとすることをあきらめるなと教えてくれた、大切な物語でした。


ちなみに、パンフレットには、映画で子どもたちが最後に炎を放ったシーンが、マハーバーラタのオマージュではないか、など詳しく解説してくれていたこともあり、個人的に買ってよかったです。
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