prastic

ザ・プロムのprasticのレビュー・感想・評価

ザ・プロム(2020年製作の映画)
3.8
インディアナ州の田舎街でゲイ・セクシュアルの女性カップルがプロムに出ようとして校内で強い反発を受け、プロムが中止になったところを、落ち目のブロードウェイスターが自身の名声回復を狙って助けにいくという話。

劇団一行、とくにセレブ舞台女優の主人公はセクシュアリティには多少理解があるが別の角度からの偏見が酷い利己主義者という設定で、繊細な問題にずかずか介入していくのだが、当事者の女の子は不思議に励まされ、よくも悪くも街の方向を導いていく。
団体で当事者女性のエマをプロデュースしていく様はクィア・アイのようだ。

美術の世界でも、芸術祭などで地域に介入するアーティストがその場所の問題を取り扱って制作を行う際に、よそ者として介入することや地域の尊重より作品としての質が優先されてしまうエゴイズムの問題が取り沙汰される。ある差別に対して積極的に抗議を行っているが別の問題については無知な偏見を押し付けてしまったりすることなども度々議論されるテーマなので、コメディタッチの雰囲気にツッコミながら身につまされる気持ちになったけれど、この物語では巻き込まれる人々が、展開を追うごとに理解したり傷ついたりしていて、一枚岩じゃない感じで運動を描いているのがすごくよかった。
やり方が横暴なところや理念の不純な部分もあるけど、なんだかだんだん上手くいく、っていうのは理想だ。現実はもっと複雑かもやけど象徴としてはめちゃよい。

また、インディアナ州といえばたしか先の大統領選でもトランプが勝利していたところだ。これから調べなければならないが白人至上主義やキリスト原理主義などさまざまな偏見が強く残っている場所として有名なのだろうと思われる。そういう場所でコメディとピュアすぎる道徳を成立させる、というのはアメリカのリベラル層にとってとても溜飲の下がるお話しなのかもしれない。
日本でいうとこの「逃げ恥新春スペシャル」みたいなものだろうか。

とはいえ、話が結末に向かうにつれてやや教条主義的になっていって、やたら都合よすぎる展開になっていってくのでちょっとまごついた。
あんま数を観たことないのやけど、こういうのクィア(あるいは〇〇コミュニティ)映画あるあるなのかな。

個人的にはゲイ男性のバリーがお母さんとちょっとわかりあうとこと、アンジーとエマがでっかいハーゲンダッツ食べるとこがすき。

ほんでプロムって1000ドルもかかるんやな。なんかちょっとした公共事業やん。

ララランド風のライティングとLGBTQライクなファッションと、配色もすごくよかった。
曲は普通かな、、
prastic

prastic