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オフィーリア 奪われた王国のsoffieのレビュー・感想・評価

3.8
2018年公開

ウィリアム・シェイクスピアの「ハムレット」をオフィーリアを主人公にリサ・クレインが著作した小説「オフィーリア」の映画化。

英米合作映画

ジョン・エヴァレット・ミレーの水面を流れる「オフィーリア」の絵画そのままのシーンから始まる。

主人公オフィーリアを「スターウォーズ」の主演レイのデイジー・リドが演じている。(見ているとだんだんクレア・デーンズに見えてきたのは私だけ?そして横顔がジェイミー・キャンベル・バウアー)

デンマーク王室の悲劇を描いたシェイクスピアの物語を基盤にオフィーリア側から語られたこの映画の物語はシェイクスピアとは所々異なるが、王宮や森の場面が観客を難なく中世の世界観に浸らせ、私の大好きな中世コスチューム・ドレスや装飾品、細部に至るまでとても綺麗😻✨

ナオミ・ワッツが王妃を演じていてとても美しい王妃様。
「愛を求める女の部分」と「息子を愛する母」の演じ分けが素晴らしかった。

王妃の侍女達も身分別に着ているドレスが異なり、当時の王妃の侍女達の華やかさがよく分かる。

シェイクスピアの「ハムレット」は、父王が急死して、父の弟が王位を継ぎ、早々と前王妃をそのまま妻に迎えた事で、王子ハムレットは不満と疑心を胸に抱く。
城壁には亡くなった父王の亡霊が夜な夜な出ると噂になり、ハムレットはその亡霊に会い「父は弟王クローディアスに毒殺された」事を知る。
父の敵討ちを誓ったハムレットは狂人を装い王妃とクローディアスを油断させる。
やがてクローディアスが父を毒殺した証拠を掴む。
王妃の部屋に来ていたオフィーリアの父をクローディアスと勘違いして刺殺してしまう。
さらに幼なじみで恋仲だったオフィーリアに残酷なまでに冷たく当たり「尼寺に行け!」と突き放し、オフィーリアはショックのあまり川に身を投げて溺死する。

オフィーリアの兄は妹と父の仇を取るため
ハムレットに決闘を申し込む。
クローディアスはオフィーリアの兄に毒を塗った剣を持たせ、毒入りの酒も用意してハムレットを殺す用意をするが、毒酒を王妃が知らずに飲み、ハムレットとオフィーリアの兄は剣の毒に2人ともやられる、死ぬ間際事の次第をハムレットに告白するオフィーリアの兄。
ハムレットは弟王を殺して復讐を果して死ぬ。

…主要人物が全員死んで全く救われない話😓🤔😑


この映画の原作は女性作家で、監督も女性。だからなのか、この映画「オフィーリア」には救いがある。

原作者シェイクスピアが観たら
「違う!!これでは悲劇にならないだろう!!」と怒るだろうが、シェイクスピのオフィーリアは本当に可哀想。

「尼寺に行け」って言われたくらいで死ななくてもいいのに…という意見もあるが、京都のイケズを解説した本「イケズの構造」の中で著者の入江敦彦氏が、ハムレットがオフィーリアに言った言葉がどれほど身の毛がよだつほど酷い言葉なのか「京都弁で翻訳」した文章がある。
それを読んだ時、ハムレットにこの台詞を言わせたシェイクスピア「怖っつ!!」こんな事うら若い乙女が初恋の男(しかも王子様)に言われたら頭真っ白になって、そりゃ死ぬわ!と思った。

ハムレットの言葉でオフィーリア死んでしまうし、オフィーリアの父親はハムレットにクローディアスと間違われて刺殺されるし、兄は父と妹の敵討ちのためにハムレットと戦って死ぬし…。デンマーク王室の悲劇の前にオフィーリア一家の悲劇が凄いやん!!王家に仕えるってこお言うことなの????と考えたことがある。

その救われない悲劇に「救い」を描いたのがこの映画。

ハムレットの二次創作版と言えばそうなる。

ハムレットは大学に行く前の少年時代、美少年なのに、夏休み帰ってきたらもう美少年でもイケメンでも無くなったが、この役者さんを知る人には満足な配役なのだろう。

オフィーリアが男装する為に上半身にさらしを巻くシーンで裸の背中が映るのだが、ダブルボディを使っていないなら、オフィーリアの背中アスリートみたい!!と思ったらスターウォーズの撮影の合間にこの「オフィーリア」を撮ってるのでデイジーの身体は鍛え上げられている。

ハムレットは舞台や映画に多々なっているが、この映画が1番美しい😻

王妃様の装いや、オフィーリアのドレスはジョン・エヴァレット・ミレーの絵画の中のドレスを忠実に再現していて素敵✨✨

フライヤーの絵が「☹️☹️☹️」と思ったが、映画はとても素敵✨

中世コスチュームドレス映画好きな方にはぜひ見て頂きたいお勧め映画。(シェイクスピアなので途中眠くなるかも)でも最後まで美しいシーンがある映画。✨
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