このレビューはネタバレを含みます
ずっと見たかった映画を遂に見れた!
役者さん達の存在感が凄かった。特にヤクザの親分(若山富三郎さん)が怖すぎた。しかし、その中でも佐藤演じる松田優作さんが飛び抜けて強烈だった。聞いていた以上の存在感。なんというか…、常に狂気を身にまとっているようだった。
そして、タイトル:ブラック・レインに込められた意味も面白い…。原爆投下による「黒い雨」を意味し、作中では「欧米化」の暗喩でもある。日本の欧米化(ブラック・レイン)によって佐藤のような人間が生まれたんだという話。それをニックと佐藤の対立に交えて描いているのが興味深かった。
また、地元がリドリー・スコット監督の手によって、ブレードランナー風の世界になっているのを見れたのが最高に嬉しかった。
もちろん、日本の描き方にツッコミどころがないと言えば嘘になる。しかし、それも西洋からの目線と捉えれば結構面白い。
新宿歌舞伎町がブレードランナーの世界観に影響を与えていたことは知っていた。だが、監督が本作でそれを大阪にも重ねていたことをこの映画を見て初めて知った。確かに、ブレードランナーの世界観は大阪の夜の街並みに通ずる所がある。
ブレードランナーを見た時に感じた謎の哀愁・既視感は、映画に地元の面影を感じていたせいなのかもしれない。映画を観た後にそんなことを色々考えた。
昔は大阪市内の高架下に住んでいた。その時まだ5歳にもなっていないけど、未だにその時の夢を見る。大阪市内の灰色の薄汚れたコンクリートの記憶。自然や整然さからは程遠い、人間くさい雑多な街並み。そこが大阪の魅力だと思う。そして、そこに雨をふらせれば確かにブレードランナーかもしれない。
雨にぬれたアスファルト。
けむる雨上がりのネオン街。
タイトルにもある「雨」が印象的だった。
語り尽くせない、いい映画だ。