rage30

ブラック・レインのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ブラック・レイン(1989年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

護送中に逃してしまったヤクザを追う、アメリカの刑事の話。

まず、印象的だったのは、日本を舞台にした映画にも関わらず、完全にリドスコの映画になっていた事。
煙を焚いたり、道を濡らしたり、暗い室内に差す光など、どこを切り取ってもリドスコらしいビジュアルが見れるんですよね。
こうした凝った画作りが映画に深みや雰囲気を与え、没入感を高めてくれるのだろうし、日本が舞台だからこそ、リドスコの特異な作家性をより強く感じる事が出来ました。
まぁ、あまりにもビジュアルを優先させた結果、「こんな暗い剣道場はないよ!」「こんな農場にヤクザは集まらないよ!」と、いくつかツッコミ所も発生していましたが、そこはご愛嬌でしょう。笑

あとは、役者陣の活躍も印象に残ったかな。
主演のマイケル・ダグラスは勿論の事、サイドキックとして抜群の愛嬌を見せるアンディ・ガルシアも良かったし、内田裕也やガッツ石松に安岡力也と日本人俳優の見せ場があるのも嬉しい部分。
高倉健に関しては、英語台詞でも堂々と演技しているのが流石でしたし、何より本作は松田優作ですよね。
既に病魔に冒されていたとの事で、あまり体は動かせなかったと思うのですが、それでも気迫のある表情だったり、その存在感は場を圧倒するものがあり、改めて凄い俳優だなと思わされました。

物語的には、王道の刑事アクションといった感じでしたけど、汚職刑事の成長や日米の刑事によるバディ要素など、サブプロットが効いていて盛り上げてくれますし、日本寄りでもアメリカ寄りでもないバランスも良かったなと。
むしろ両者を皮肉るニュアンスもあったりして、この辺はイギリス人であるリドスコならではの視点なのかもしれません。
個人的には『ブレラン』を想起させるというか、松田優作の冷血なキャラクターはロイ・バッティを連想させるし、諸々の要素を『ブレラン』と比較するのも面白いのではないでしょうか。

昔に見た時は結構イロモノ映画のイメージあったのですが、久しぶりに見返すと、普通に面白い映画だな~と思いました。
今となっては故人になってしまった人も沢山いるし、今後は見返す度に再評価したくなる作品になっていくのでしょうね。
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