KH

ブラック・レインのKHのネタバレレビュー・内容・結末

ブラック・レイン(1989年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

x00本目となりますので好きな映画の再視聴です。

松田優作の遺作。
黒い雨。ブラックレイン。

この作品は正直言って主人公のイケイケさ加減が鼻につくし、日本人をやはり下に見ている感じもいけ好かないがアメリカ文化と日本文化のぶつかり合いというテーマも内包しているので、少し溜飲を下げる。がそんなこともどうでもよくなるくらい松田優作の狂気がすべてを飲み込んでくる。
これは松田優作が癌を患いながら演技していたというのは有名な話だろう、まさにその通り鬼気迫る演技に観客は登場の瞬間から魅了されるはずだ。高倉健も外人が思う実直な日本人像、礼儀を重んじるしかし時には友情を優先し心強い味方となるそんなカッコイイ日本人像をうまく演じ切っている。ガッツ石松や安岡力也など脇を固める俳優陣も素晴らしい。
リドリースコットのちょっと間違った日本感の大阪、どこか中国やらのアジアくさいギラギラした街並み。嫌いじゃない。
しかし今の日本映画界でこのような映画が撮れるのだろうか。漫画原作、アニメ原作、恋愛映画ばかりで保守的な邦画界。
そして主演はよくわからないアイドルやら劇団エグザイルやらジャニーズやら、この映画の主演をもぎ取るために200人から役をもぎ取った松田優作はこういったとスマステで言っていた。
「これから役者をやっていくには、日本だけなんて考えちゃだめだぜ
 ハリウッドにもどんどん出て行ける役者にならねえとな」
今の邦画界を松田優作が見たらどう思うだろう。またこうも言っていた。
「おれは絶対日本の映画を変えてやるんじゃ」
今の日本の役者にこんな心意気を持った人間は何人残っているのだろう。
KH

KH