ニューヨーク市警殺人課の刑事ニック・コンクリン。
彼は同僚のチャーリー・ビンセントと殺人現場に遭遇し、何とか犯人を逮捕する。
ニックとチャーリーは、その犯人である佐藤を日本まで護送する任に就くこととなるが、日本に到着早々佐藤の姦計に掛かり、逃亡を許してしまう。
大阪府警の松本警部補の協力を得て、文化も違い慣れない日本で佐藤の行方捜査する彼ら。
捜査を進めるうち、偽造通貨の製造をめぐる、やくざの一大抗争に巻き込まれてゆく...。
異なる文化を生きるものたちの反目と和解。
この手の刑事ドラマはよくあるが、マイケル・ダグラスや高倉健を始め、俳優たちの好演により、作品の格が上がっている感じ。
俳優たちは安定の巧者たちが多いが、特に佐藤を演じる松田優作の演技は特筆もの。
本作が遺作となった彼の演技は正に鬼気迫るものがあり、観る者に極彩色の強烈なインパクトを与える。
また、やはり高倉健の静かな演技も忘れてはならない。
言葉は少ないながらも強烈な存在感を放ち、「日本人」を体現するその演技は、観るものの心に重く錨を降ろす。
彼の演技は観終わった後になって、心に響いてくる。
ラスト間際、チャーリーと佐藤の死闘も、そのキャラクターになりきった彼らの演技力により、非常に観応えがあるものになっている。
そして決着の時、今まで粗暴だったチャーリーがあのように判断できたのは、松本の誠意が彼の心に届いたからなのだろう、と納得させてくれる。
まだまだ日本の描写に違和感があるのは否めないが、日本勢の俳優たちの好演もあり、非常に印象に残る作品となった。
ハナマル!
2019/09/23