シエル

劇場のシエルのネタバレレビュー・内容・結末

劇場(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

芸術界隈にいがちな太宰治系の男と、その男に惚れた女との共依存関係とその解消の物語。

演劇で浮き上がれない鬱屈のため強いコンプレックスを持ち、そのせいでひどく嫉妬深い永田。彼が自分本位でモラハラな振る舞いで沙希を振り回している関係に見えて、実はお互いに依存し合う関係。
永田がサキの家を出てから沙希が酒に溺れていくのも無理もない。別の依存先が必要だから。

関係が終わることになってから、相手に感謝を述べてももう遅い。でも関係が終わることなど想像しないし、別れる時にならないと相手と自分とのことに客観的になれないのはよくわかる。別れたから、永田はそれを舞台に載せることができた。

永田が最後に「沙希は神様だ」と言うのと、ある日沙希が永田に言う「私は人形じゃないよ」と言うのは呼応しあってるというか表裏一体。
沙希は人間なんだよ。そこからしかまともな関係は結べない。

一緒にいても苦しいだけだけど、苦しんでからじゃないとそのことに気づけないのもわかる。

山崎賢人さんも松岡茉優さんも、それぞれ永田と沙希にはまっていたと思う。

(2022年配信16本目)
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