yukky

劇場のyukkyのレビュー・感想・評価

劇場(2020年製作の映画)
3.9
◾︎一言
「人生に出会った」

◾︎選んだ理由
アマプラで観れると聞いて

◾︎こんな人にオススメ
人間味があって、軽すぎない映画が好きな人
松岡茉優好きな人

◾︎感想
▪︎ストーリー
「明日遊べますか?」

久しぶりに、しんどい映画だった。(いい意味で)
私はどちらかというと、沙希の視点で物語を観ていた。だから余計に、しんどかったのかも知れない。

この映画観て、考えてしまうこと、割とあった。

プライドの高さゆえ、物凄い嫉妬や葛藤を内に秘めながらもそれを隠せていなくて
無骨で不器用で好き嫌いはっきりしてて、なのにたまに見せる愛情表現は笑ってしまうくらいアホらしくて愛おしくて
そんな永田の人間味に、堪らなく引き込まれてしまった私。

そういう人と生きてる時って、
ある種"人生に出会った"みたいな感覚、だなんて思った。
そんな記憶どうせ忘れない。

そして、そういう誰かの葛藤に寄り添うことって、本当に難しい。
特に自分と全然違うような相手であればあるほど、
思い遣っているようで、思い遣れない。分からないから、怖いから、ただただ肯定するしかない。
それなのに松岡茉優演じる沙希は、何故か清々しくて美しくて、
だから私は逆に、苛立ってしまった。
私みたいだけど、私じゃない。

この世にいい別れというものは存在しないが、結果的にいい別れだったと、言い変えることはできる、と私は思っている。
人と触れ合って傷つくと、人は変わることを余儀なくされる。
この映画に描かれているその二人の"変化"が、私には救いに見えた。

あとは個人の話で言うと、
仕事でも恋愛でも、"今の自分を知り認めること"から全てが始まると思った。
それめちゃくちゃ難しいんだけど。

そしてこの映画は、演劇を描いているからこそ
作中の台詞の言い回しが舞台っぽくて、
その湿っけがまたいい。

永くんは、彼の人生にどんなタイトルつけるんだろうな。

最後の最後まで、しっかり余韻を残してくれた。
yonigeの「沙希」聴きながら、まだ覚めていないこの余韻を楽しみます。

▪︎その他
山崎賢人も松岡茉優もつよいんよなー…
キャスティング大正解。
特に松岡茉優を見ていて、めちゃくちゃ嫌な気持ちになった。笑(褒めてる)
寛一郎のファンになってしまって調べたら佐藤浩市の息子なのね!!納得。
山崎賢人は演技もいいが顔がいい。この役すごい良かったな。こういう役もっとやって欲しい

あとまさかの井口さん出てて、いいエモさ醸し出してた。
吹越満は好き。笑

この映画を観てしまうと、やっぱり舞台を観に行きたくなる。
懐かしいなぁ、就活で割としんどかった時、
先輩に誘ってもらって、その先輩が出演している
舞台を観に行ったことが思い出された。
さめざめと泣いた記憶。その時のセリフも色々覚えている。

やっぱりあの狭い、空気のこもった
汗ばんだ空間で大袈裟なくらい張り上げた
声に、また聞き耳を立てたいなんて思ったな。

◾︎この映画を観た人にオススメ
・生きてるだけで、愛
yukky

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