ぬーこ

劇場のぬーこのレビュー・感想・評価

劇場(2020年製作の映画)
4.0
『ここが一番安全な場所だよ』
その言葉がずっと耳に残った。

どこまでも優しい聖母ような沙希と売れなくて意固地な舞台脚本家の永田。

原作小説も読んで内容を知ってたので、良い意味で全く期待してなかったら、思ってたより良かった。監督すごい!
又吉先生の良さって文豪張りの情景描写や台詞、一人称での語りの巧さにある気がする。劇場も火花も決してストーリーの良さが突出している作品じゃないと私は思う。
だからこのストーリーを原作に忠実に、回想シーンとか全く使わず、2人の出会いから別れまで生身の時間経過で撮るってすごいなぁと思う。
また原作からのセリフの引用もかなり多くそれは原作小説ファンとしては嬉しかった

そういえば本読んで、仕事でシモキタ行く時にテンション上がったり、桜が満開の羽根木公園🌸を観にいこうと思ってたっけ
最後の台本読み合う場面は読んだ時も印象残ってたな

人物的にこの永田は、人間失格の大庭葉蔵にいらんプライドが加わったような奴でこの弱さに共感を持つ人は半々くらいじゃないかな
でも最近、自分を含め人間が人間に厳しくなっていってる気がして、
こんな人間はダメだ、こんな男は、こんな女は。。。
不甲斐ない、だらしない人間もいて、それは彼の人生で、それと共に歩むのもその女性の人生だし、良いんじゃないかと思う。

一方で、こんな主人公が可愛くて優しい彼女に庇護されるのは不公平だよなぁと思う自分もいる笑

○セリフ
夕焼けって太陽が大きくて怖くなる時あるよね。私怖くてそろばん休んだ事あるよ

永君、何にも悪くないよ。だって何も変わってないんだもん。勝手に歳を取って焦って変わったのは私の方だよ

2020.105
ぬーこ

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