うっちー

ブラック校則のうっちーのレビュー・感想・評価

ブラック校則(2019年製作の映画)
3.7
 茶髪禁止、パーマ禁止、化粧禁止、靴下やコートにまで口出しし、髪の長さとまとめ方も決められている。もちろんアルバイトは禁止、買い食いなども禁止というブラック校則。うん十年経ってもまだこんな悪癖が残っている日本。つくづく不毛だと思う。もちろんすべての中学、高校で、ではないけれど。
 

 そんな現状を、押し付けられている高校生たちはどう思い、どう対処していけばいいと考えているのか。そんなテーマを掲げた青春映画。お供での鑑賞だが、なかなか面白かった。主演ふたりは今をときめくジャニーズの人気グループのメンバー。恋愛絡みの砂糖菓子みたいなロマコメではなく、こんな作品を出演作に選んだというのもいいじゃない? 超ハードコアとまではいかないけど、ほんのりした恋模様や言葉やテンポで笑かすコメディー要素を絡めながら、主題はあくまで高校生たちの自主的な蜂起と権利奪還。こういう作品がメジャー配給で出てきたことを喜びたい。

 佐藤勝利扮する創楽は、髪色を理由に教師から不当な扱いを受けて不登校気味になっている同じクラスのハーフの少女、希央(モトーラ世理奈)を案じ、同級生の中弥(高橋海人)とともに、彼女が登校するのに必要な地毛証明書を作ることや校則自体の変更を目指し、あれこれと画策を始める。凶暴な生活指導の教師(ほっしゃん、めちゃ怖くてムカつく怪演)や学校に従順なクラスメート、陰険ないじめっ子的男子生徒、吃音をバカにされながらも何か光るものをもつ小柄ないじめられっ子、そして生徒側に同情的だけど力のない教師など、さまざまなキャラを織り混ぜながら進むストーリー。そのすべてをうまくいかせているとは思わないが、メインの二人と希央のエピソードはしっかりとしていて、徐々に理解を深め、立ちはだかる大きな壁を崩そうとしてゆく経過が、希央の家族にまつわるビハインドストーリーも含めてなかなか魅力的。彼女に扮するモトーラちゃんは本当に不思議な魅力のルックスや淡白だけど強さを秘めた声の力でくぎづけにする。また、ゆるゆるとした博愛主義者の中弥の高橋海人のユーモラスでかわいい演技もなかなかよい。また、吃音の生徒のクライマックスでのラップは、その言葉と思いに絆される。
 
 惜しむらくは、ラップの言葉選びやリズム感、バックトラックのクオリティーなど音の部分のセンス。ここがよければ、もっと印象は強かったかも。また、希央の退学回避は勝ち取ったのはいいけれど、校則がガラッと変わったらしい誇張されたラストの絵は漫画チックすぎないか? そこまでしっかりうやむやにせずに、変化を日常レベルで確認できたら最高だったと思う。

 しかし、こういう芽は育っていってほしい。あと、勝利くんはやはり凄く可愛いですね。小柄で神経質、気弱な役はよく似合ってると思います。

 なかなかのめっけものですよ。薬師丸さんやでんでんさん、坂井真紀、成海璃子ちゃん、光石研さんまで出てるし。
※すべてが存分にいかされてはいないけど💦
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