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ブラック校則のEDDIEのレビュー・感想・評価

ブラック校則(2019年製作の映画)
3.7
クラスで地味ながらも権力に抗いもがく主人公の姿が熱い!トントン拍子ではなく校則を変える難しさに悩み苦しむことがリアル。細かい伏線が見事拾われていく模様は映画としての丁寧さを感じさせる。決してただのアイドル映画ではない爽快な青春学園ストーリー。

想像以上に良かったです。
主要ジャニーズキャストも佐藤勝利ぐらいしか知らなかったので、最初はキャラの把握に苦労しましたが、達磨演じる吃音の生徒・詩音がクライマックスめちゃくちゃいいところを持っていきました。
公開当時は評判も良いこともあり、劇場で観るか迷ったんですが、優先順位の問題で後回しになり今に至ります。
ちなみにドラマは観ていませんが、十分に楽しめました。

とにかく生徒たちを縛り付けるブラック校則とほっしゃん演じる生徒指導員の手代木が酷いひどい。今どきここまで校則厳しく罰するところあるのかと疑問に思いつつも、たまにTwitterとかでも女子の下着の色は白でなくてはならないとかトンチンカンな決まりが問題になったりと今も昔もアホみたいな校則に縛りつけられるティーンが多いんだなと感じた次第です。
しかも子供の頃はそれがルールだと疑問に持たずに育つわけですからよくよく考えれば悪どいですよね。高校生にもなると色んな世界を見る機会が増えるので、違和感を感じざるを得ません。さらにはSNSが主流の今では生徒の個性を軽んじる校則なんてものはおかしいと気づくティーンも多いんじゃないでしょうか。

本作では佐藤勝利演じる主人公の創楽(そら)が恋する町田希央(モトーラ世理奈)の髪の色をめぐる校則バトルが繰り広げられます。とはいえ生徒が教師に真っ向から勝負するって話ではなく、現実問題と奥手な主人公の性格を上手く活かし、なかなか上手いこと事が進まないもどかしさがとてもリアルで良かったです。
結局校則って法律ではなく、学校側が都合よく作ったルールでしかないんですよね。生徒のためとか言いながらも、それは生徒の個性を壊しかねません。まさに本作の希央の栗色の髪が原因で、希央は学校の出席日数が足りなくなり退学の危機を迎えてしまうわけです。それを創楽はなんとか救おうと校則を変えるべく動くんですね。

一番矢面に立つのはほっしゃんの演じる手代木です。彼は校則を守らない生徒がいれば、体罰は辞さない、しかも顧問を務める柔道部でもできない生徒を槍玉にあげ連帯責任で全員走りに行かせる。ひと昔前だと当たり前のようだった光景ですが、もはや彼のやっていることは体罰=暴力です。
でんでんが校長役ですが、彼も諸悪の根源。とにかくトップがあれだと周りも従わざるを得ないわけですからね。

本作で見事だなと思わせたのが伏線として使ったセリフやアイテムの回収。序盤こそ少しテンポの悪さが目立ち、微妙な感情で観ていたのですが、クライマックスに近づくにつれてのめり込んでいきました。

役者は今をときめく箭内夢菜や堀田真由が出ており、国語の教師役で鳴海璃子、ほかにも坂井真紀や光石研、薬師丸ひろ子と実力派が脇を固めます。
個人的には光石研が演じた井上は普段のイメージとはかけ離れており、新たな発見としても面白かったですね。学校のアイドル的立ち位置の三池ことねを演じた堀田真由は出番が限定的だったので、もっと観たかった。あとは箭内夢菜の演じる生徒会長で陸上部の上坂樹羅凛は七五調で話す得意なキャラクター性もあり、本作で特に印象的なキャラでした。

学校でもカーストの底辺にいるような創楽を主人公に、彼が彼なりに希央のためにもがき苦しみ行動する姿はとても爽快感がありました。
これをもし自分がティーンの時に観ていたらどんな感情を抱いたんだろう。

※2020年自宅鑑賞224本目
※U-NEXTポイント鑑賞
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