アネモネ

FUNAN フナンのアネモネのレビュー・感想・評価

FUNAN フナン(2018年製作の映画)
3.8
ある日
ありふれた今日が急に、突然奪われるなんて。
国が分断され、同じ国民同士で戦わされるなんて。
家族が離れ離れになって、人間の醜さ愚かさと絶望だけが残る。




歴史を学んだり、それ以上にたくさんの映画で知った世界の悲劇。
どうして人間はその悲劇の歴史から学ばないの?世界大戦後だけでもルワンダやインドネシア、韓国や中東など様々な国で同じ事が繰り返されて大勢の人が命を落として、大勢の人の心に大きな傷を残している。
近所に住んでいた人と殺し合うってどういうこと?
なんで、なんで?
いったい何を検証してるんですか?
権力とか支配とか争って命を軽んじる人間ってなに?
火の鳥のように、一度地球はやり直しても、誕生した微生物だってまた争い始めるのかな。
悲しい。悲しすぎる。
私みたいなちっぽけな人間が叫んでもどうしようもないかもしれないけど、苦しい!



劇中、必死に生きて子供を探す主人公のチョウの姿に胸を打たれました。
幸せな日常が本当に突然変わり、家だけじゃなく最愛の息子と生き別れ、家族や親族や同じ国民の変貌する様に傷付き絶望してもまだ、望みを捨てない母の姿。
生きるのは息子の為。
起こる事実が淡々と描かれるぶん、衝撃と悲しみが強く伝わってきました。



と、ここまで感想を書いて保存していたのですが。。

今またミャンマーで同じ事が起きています。
毎日、私が泣いてもしょうがないんだけれど、
ニュースをみる度に涙が止まらないです。
光州も声を上げた若者が沢山命を落としました。
今、ミャンマーでも勇気ある若者が犠牲になっています。
先日、このクーデターによってますます困難な状況に陥ったであろうロヒンギャの現状を、日本に住むロヒンギャの人にインタビューしたラジオを聞きました。
彼女は、迫害を受けた立場にもかかわらず、今のロヒンギャの大変さよりも
今ミャンマーで起こっている事を伝え、苦しんでいるミャンマー国民への救済と協力を涙ながらに訴えていました。
同じ国民を助けたいと。


平和ボケした日本人の私は微力です。
だけど、繰り返されるこの事実をちゃんと知って考えて声を上げる事はできると思います。




どうかチョウさん達が、今穏やかにどこかで生きていますように。
チョウさんの孫が苦しまない世界を作るのが、この映画を観た私達にできることなんじゃないかと思います。
アネモネ

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