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死霊魂のokimeeのレビュー・感想・評価

死霊魂(2018年製作の映画)
4.5
2020年、301本目。
8時間越えの戦い。まぁ寝ましたけど。(サタンタンゴより起きてた)
昨日見た大林監督の遺作海辺の映画館--キネカの玉手箱 を思い出した。
「映画で歴史は変えられないけど、歴史の未来は変えられる。未来をハッピーエンドにするのは観客だ」

生存者は、みな高齢なのにしっかりして、賢そうな人たちばかり。
年月や人の名前・出来事をすごく覚えている。
日本で戦争を語る人たちもそうよね。
私たちは何も語るものがない平和なんだな。

第一部
毛沢東「悪人は全体の5パーセント」
その人数を摘発せず、「数のタスクではなく、多かれ少なかれきちんと悪人だけを捕えろ」と訴えると、右派だとして捕まる。
「再教育収容所」のあった明水・砂漠には、大量の人骨とともに、大きめの石がそこらへんに転がっている。
墓石なのだ。

第二部
涙ながらに命を救ってくれた人々の名前を伝える。
2500人収容されて、生存者は300人。
亡くなった仲間の肉も食べた。
などのひたすらに厳しい内容が語られる。
「大量の死者が出たから、釈放されたんだ。あなた達のお陰で、生きられた。」

第三部
全く眠気なく、見せられる。
待ってました、李先生。
「若い者は知らないだろうが」これもまさにキネカの玉手箱の「私は何も知らない。教えてください!」の映像が重なる。
元職員も出てきて、「殺人だ。死ぬことはわかっていた。」と告白。
しかし、立場上何も言えない。いうと批判されて今度は自分が収容される。権力がないと何も出来ない。些細な言動で批判される。
みんなわかってるんじゃない‥!!

世界的飢餓に見舞われてから、囚人には、1日未加工の穀物で250g、脱穀すると200g。職員には小麦粉に換算して1日400gの給食という指示が政府よりあった。
250gに減らさなかった長は反逆罪となる。

冬は零下38度にもなるため、土壌が凍り、また埋葬係の体力もないため浅くしか墓穴を掘れない。強い風が吹き続けると、遺体が露出する。
広大な土地にそこかしこに散らばった人骨・しゃれこうべ。。

3200人が収容され、生き残ったのは500人。。


監督のインタビュー手腕もなかなか。話さないことで全て自らに喋らせている。本人も話したかったのだろうと思う。
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