2020年11月7日 所有DVDにて鑑賞。
水上勉の第45回直木賞受賞作品を川島雄三が映画化。
京の古刹で繰り広げられる、3人の男女の愛憎劇を描く。
爛れた愛欲と歪んだ師弟関係。
孤独な少年僧の冷たい目に危険な光が灯り、彼の謀(はかりごと)に気付いた住職の囲われ女は驚愕に身を震わせる。
異色の文芸作にして、暗く湿った雰囲気を纏ったエロティックサスペンス。
しかし観進めると、川島作品常連の山茶花究の登場もあってか次第に黒い笑いの部分が見え始め、それはラストで川島が意図的に仕掛けている事を確信させられる。
同年公開の『しとやかな獣』に通じる、凝ったカメラワークも見所。