ピッツア橋本

雁の寺のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

雁の寺(1962年製作の映画)
4.5
“雁染めを 照らす無常に 影が差す”

とあるお寺に出家した少年、その僧侶と愛人が織り成すエロス漂う人間ドラマ。

ほぼ白黒映画、ほぼお寺の中のみで成される絵作りが奥行きと立体感を感じさせられる。スタイリッシュ。柱と襖の美学が散りばめられている。

タイトルの“雁”がシナリオにとても良く効いていて、心象的にも視覚的にも本作を悲しく象徴する働きとなっている。

キャラクターの言動一つ一つが静かに異常というか、徳の高い職業のお坊さんなのに利害な事ばかり言い、凄くだらしなく適当で下手したら我々一般人より世俗的で下衆に描かれている感じがとても面白い。

製作の時代性もあって、シークエンスの割にそこまで激しい描写はないけれども、情と感覚に訴えかけるインパクトは充分にある。

乞○村のネーミングセンスが凄まじい!

静かに狂ってる、余韻嫋々な映画でした。
ピッツア橋本

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