雁の寺の作品情報・感想・評価

「雁の寺」に投稿された感想・評価

ネット

ネットの感想・評価

3.5
構図キメキメのフィックスの連続。かっこいい。前景・中景・後景、右端・中央・左端、といった三分割構図をベースにしてカチッとキメる。
最後にカメラが動き出すシーンがあってさぞやエモーショナルな瞬間なのだろうとワクワクしたのだが、最後でポカーンですよ。なにあれ?
ちろる

ちろるの感想・評価

3.8
今まで観てきた川島作品のなかでも不気味さはピカイチこちらの作品。
舞台がお寺ということもあるのですが、登場人物の意図がイマイチ分かりにくくてベールに包まれたままに展開をひっそりと見守らなければならない緊張感が漂っているからなのかも。

寺の住職である慈海(スケベジジイ)と亡くなった檀家である画家から譲り受けた愛人 里と養子としてひきとられた若い僧 慈念の複雑な人間関係。
もし大人の男女2人と少年1人の共同生活とあれば、きっと小津安二郎先輩ならきっとハートフルな疑似家族の物語にしていたでしょう。
しかし川島監督のシニカルな視点は容赦ない。
セックス依存症のように若き愛人にしがみつく愛欲にまみれた生臭坊主と、嫌よ嫌よと言いながら色っぽい首筋をゆるませてしなだれかかる若尾文子演じる里のいやらしさといったらもう、、まだ10代の若僧には刺激が強すぎるだろう。
まるで、「鍵」の京マチ子の姿を思い起こさせるような挑発的な態度はたまたまなのかわざとなのか・・・

こんな環境き置かれながら休みなく働く少年の、心が少しずつ壊れていくことはもはや必然ともいっていい。
エロ→覗き→里の同情→この後の展開がとにかく急で怖い。
この作品はともかく登場人物誰の目線に立って描かれておらず、私たちはこの奇妙な3人の不穏な共同生活を送る姿をひたすら見せられ続けるのであるが、後半の慈念の「急変」はその[居心地の悪い傍観]に終止符を打たせるようなものでもある。
そして前半からずっと思っていた慈海のなんとも言えない(子どもらしかぬ)薄気味悪さに対しては腑に落ちてしまう。
最初から最後まで何が先に起こるのかわかんない不穏な空気と唐突なラストシーンのギャップがなんとも言えない気持ちにさせる。
てぃだ

てぃだの感想・評価

3.3
若尾文子と捨吉が間違いを犯し、おっさんが消えてからが俄然面白くなった。お、重いなぁこの棺桶えー。着物の女性を橋の足下から撮るのエロい(違)。クライマックスでいきなり観光映画に豹変するのに笑う
いけ

いけの感想・評価

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川島雄三のあの部屋と部屋の仕切りの上から覗くような俯瞰とは何か?
今作だけなのか、あまり覚えてない。
若尾文子には背景を完全に置き去りにする存在感があるように思われる。
エロ坊主。
妖艶な愛人。
口減らしで寺に預けられた修行僧。

少年修行僧の孤独感が痛い。

lastでカラーになる。
アノ

アノの感想・評価

3.6
若尾文子の生足。蠱惑。

陰気すぎて好きではないしオチなんて滑ってるとすら思うが、この空気の作り方は並ではない。
やたらハイカラな言葉を使いたがる山茶花究に萌え。
以前観た時は、生臭坊主の話で若尾文子が男を渡り歩くということしか覚えてない。今回、青年僧によって禅宗の腐敗と乱れを表現していたんだと遅ればせながら気がつく。これが水上勉の実体験だというから恐ろしい。生臭坊主と若尾文子のやり取りは、見事だが、キーマンとでも言うべき青年僧が、かなりの大根で物語の調子を破綻させている。川島雄三のいつもの事だが現在との対比を入れたがるのだが、これがあんまり成功してない。
“雁染めを 照らす無常に 影が差す”

とあるお寺に出家した少年、その僧侶と愛人が織り成すエロス漂う人間ドラマ。

ほぼ白黒映画、ほぼお寺の中のみで成される絵作りが奥行きと立体感を感じさせられる。スタイリッシュ。柱と襖の美学が散りばめられている。

タイトルの“雁”がシナリオにとても良く効いていて、心象的にも視覚的にも本作を悲しく象徴する働きとなっている。

キャラクターの言動一つ一つが静かに異常というか、徳の高い職業のお坊さんなのに利害な事ばかり言い、凄くだらしなく適当で下手したら我々一般人より世俗的で下衆に描かれている感じがとても面白い。

製作の時代性もあって、シークエンスの割にそこまで激しい描写はないけれども、情と感覚に訴えかけるインパクトは充分にある。

乞○村のネーミングセンスが凄まじい!

静かに狂ってる、余韻嫋々な映画でした。
川島雄三監督の傑作のひとつ。水上勉の小説を映画化した文芸エロティックサスペンス。
全編を貫く画面構図の異様さ。ローアングルからのアオリ、そしてその対比となる俯瞰のカットを巧みに組み合わせ、京都の禅寺で展開される歪みきった愛憎を表現してみせる。まさに川島雄三監督の視覚芸術の到達点。
終盤の墓穴の中にカメラを据えて、そこを覗き見る参列者を捉える「死者の視点」。心底ぞっとさせられる名シーンだ。
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