Sturgill Simpsonが出ていると観賞後に知り、「えっどこで！」と調べたら、ガスで殺されたあいつだった。
さて本作、世評の通りにたいへん面白い映画と思うが、中盤以降の停滞は個人的にいかがなものかと思う。まず、冒頭のテキストチャットに端を発する本件の「動機」についての説明描写が、かなり作者側も配慮した感じはあるが、それでも長いと思う。というかこの後半部、『動物農場』の件も含め、風刺として、寓話として、オフビート・コメディとして本作を構築していこうという「知的」な姿勢が、前半部のはちゃめちゃな、しかしよく考えられたスリルな展開と比べて刺激に欠けるのである。
ただ、「主役」のあの人だけはずーっと面白い。しかも、その面白さが、演技の独創性によるものだというのが非常に素晴らしい。ラスト、横臥したこの人とヒラリー・スワンクとの切り返しで、最も美しく見えるように撮っている。ふたりの対称性・関係性はどうでもいいが、この気遣いにはほろりときた。
