虎舞羅ーコブラー

ザ・ハントの虎舞羅ーコブラーのレビュー・感想・評価

ザ・ハント(2020年製作の映画)
3.8
低予算ホラーの良作を送り出してきたブラムハウスが手掛ける、アクション・スリラー映画。

一度アメリカでの公開が中止された程の問題作という事もあり、日本でも映画好きの間で話題になっていた本作。遅ればせながら鑑賞しました。

皆さんがレビューされている通り、予想外の展開に騙されましたね。特に序盤では誰が主人公なのか定まらない程、連鎖的なデスシーンを強烈に描いています。
R15+に相応しい鮮烈なゴア描写の中に、ブラックなユーモア溢れるネタ発言を言い放ち退場していく人々や、ドジする富裕層側の人々の様子からブラックコメディとしても確立されている様に感じられます。手榴弾のピンを抜き忘れて投げるという、素人がやりがちな凡ミスをあえて狩る側の知識豊富なはずの富裕層がする皮肉さ。思わずツッコんでしまいましたね…(笑)
そして始まる形勢逆転。ここからはアクション映画としての面白さも溢れてきます。銃器もアメリカらしいゴリゴリのカスタムモデルが出てきたり、はたまた泥沼な乱闘が繰り広げられたりと、バラエティに富んだアクション満載でしたね。
アメリカの政治における人々の二極化や、アメリカの社会問題などを風刺する描写が多いため、メッセージ性の強い作品だと言えると思います。ですが二極化の風刺においては、かなり過激な思想を持ったキャラとして強烈に描かれているので、確かにマイナスな影響力も秘めている様に個人的には感じます。極端な個人の思い込みから大事に発展する様は、SNSなど個人の見解が影響力を持つ現代では珍しくない事ではないでしょうか。様々な視点から考察が出来る作品に仕上がっていると思います。

あまり政治などに詳しくなくても、一つのエンタメ作品として成り立っているのでオススメです!