故ラチェットスタンク

シャン・チー/テン・リングスの伝説の故ラチェットスタンクのレビュー・感想・評価

3.0
うわー普通!

感覚的に言うと
「ブラックパンサー」
「アントマン2」
「マイティソー」
「キャプテンマーベル」を観た時に近い。
出来は安定してるんだけど新鮮味がない笑!

Rotten Tomatoes 🍅
観客支持率:98%
批評家支持率:92%
IMDb
観客平均点:8.1/10
批評家平均点:71点
の高評価
その上一緒に行った姉と母(フェイズ4から本格的に劇場でのMCU参加)はかなりエンジョイできた様子だったので個人的には1人取り残されている感覚です。
まあ映画当たり屋さんの反応とか観てると5、6年追ってるファンは結構冷めてる感じだったので、ファンの間でもジェネレーションギャップができ始めたのかなーと思いました。

単純なストーリーを楽しく牽引できるキャラがいないというのが最大の問題点かな。
シャンチーはそもそも「普通の人」って設定だからそれで良いのだが、そんな彼を引っ張ったり振り回したりしてくれる人がいないのだ。
妹さんはシャンチーなんて知ったこっちゃねえって感じだし、オークワフィナは付いて来るだけ。
トニーレオンは静かな威厳を持ってて面白くない人達の中では輝いてるんだけども、キャラとしては凡庸であまり面白味は無いです。

自分を持っていなかった、失っていた人たちがアイデンティティを掴んでいくっていう根本の構造は別に悪く無いんだけどね。
そのストーリー自体も最近は他の映画が沢山描いてることだし、この映画に何か特別なものがあるかって聞かれてもそうでもない。

アクションは良いとは思いますが、バス→ビルの壁→ナイフでの格闘のとこ以降は昨今のMCUのインフレが進む(キャプマ的な)アクションの乱れ打ちで正直興醒め。
あと引きで撮れ引きで。
格好良いアクションがビシッと決まったのが全体の2、3箇所ってのは問題があるよ。

視覚的な新鮮味もないし、「エンドゲーム」同様大きい画面で見るほどCGのゴチャゴチャ感と粗さが目立っちゃってた。
あと終盤はゲームのPVみたいでなんか気持ちが離れちゃった。

アクションすら個人的にはずっと冷めた目で見てる中に、更にそれを停滞させるフラッシュバックと解説的なダイアローグが入ってくるという二段構え。
ハイスピードで飛ばそうとしてるのに何度も急ブレーキをかけられる。久々に映画のテンポの気持ち悪さに酔っちゃった。

全体的に今までのMCUのSF要素が抜けて、ファンタジーへ転換されてるんだけどこれもまた視覚的に全然面白くない!

クリーチャーデザインの大喜利は「ファンタスティック・ビースト」が既に散々やっちゃってるし、繰り返される水や竜のイメージも「ラーヤと龍の王国」で出尽くしてる。
今まではモンスターやクリーチャーの設定やデザインもロジックがあって存在している(「ガーディアンズ」のロケットやグルートに始まる宇宙人たちが最たる例)からこそ質感が生まれていた気がするのだが、今作は全然それがなかった。
フワフワと浮足だっていて身体の仕組みがよくわからない。全く惹かれなかった。
最近だとこの辺はスターロが素晴らしかった。

また、個人的にMCUには「現実世界を食い破って侵略してくる未知の世界」を求めているので、今作の「未知の世界へレッツゴー!」の雰囲気がそもそも合わないのかなと思ったりした。(「アベンジャーズ1」のNYに責めてくるチタウリが好例)

あと「流血や暴力による解決は出来ない」を描くなら中盤までのシャンチーのアクションはもっと荒々しく血みどろに描かないと整合性が取れてないんじゃないかなって思っちゃった。

キャラの株を落とすのが男性陣ばかりに集中しちゃうのも最近のMCU映画の問題点だよなーと
そろそろクズな母親キャラとか駄目駄目な女性キャラを描いていいんじゃない?

この辺のバランスを「ザ・スーサイド・スクワッド」は完璧に取っていたので、より「シャンチー」の評価に影響しちゃった。

映画全体新しいものや好きになれるものが全然提示されなくて、大味さばかりが目についてしまった。

まあよくよく考えてみるとMCUの面白いオリジン作品は
「アイアンマン」
「ガーディアンズ1」
「アントマン」
だけだったりするのでこんなもんかなと

龍vsドラゴンなどに代表される中国とアメリカの対比は面白かった。