のん

シャン・チー/テン・リングスの伝説ののんのレビュー・感想・評価

3.7
バランスを欠いた歪な新フェーズの幕開け


「アベンジャーズ エンドゲーム」で22作に及ぶ壮大なユニバースに一旦は決着が着いたMCU。

「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」「ブラック・ウィドウ」を経て、ついに完全なる新フェーズの幕開けを飾るのが「シャン・チー テン・リングスの伝説」である。

MCUの最大の強みは、作品により監督のカラーの違いはあれど、単体ごとの作品内の要素の調和が取れている点だと個人的には思っている。

その点で言うと、本作はそのバランスを著しく欠いているように思う。突出した部分とそれ以外のレベルの低い要素が極端に混在している。


良い点は主演のシム・リウはじめ俳優陣の演技だろう。主人公と息ぴったりの掛け合いを見せるオークワフィナ、フェロモンダダ漏れのトニー・レオンなどアジア系スターが出ずっぱりの贅沢な時間が味わえる。序盤から中盤にかけての近接アクションも洗練されていて視覚的な楽しみもある。


ところが、それ以外のアクションシーンはあまり見せ場として機能しておらず、さらに、作品のスケールに対して予算が足りてないのではないかと感じる荒っぽいCGに愕然とさせられる。


後半の転調や作品のストーリーラインそのものは悪くないのに、恐ろしくテンポが良くないせいで間延びしているようにも感じた。回想シーンを短く刈り込めば2時間に収まった内容ではないのか。


ルッソ兄弟の硬派な路線を踏襲するのではなく、新しいことをやろうとしている気概は伝わったが、プロデュースの失敗により煮詰まっておらず、作品そのものが悲鳴を上げているように感じた。