コミヤ

シャン・チー/テン・リングスの伝説のコミヤのレビュー・感想・評価

4.4
初デスティン・ダニエル・クレットン。
エンドゲーム以来のMCU劇場鑑賞。
泣ける程面白い。1000年も暗躍してきた組織にしては間抜けで切り替えの早すぎる顛末、母の幻影を追い求める父と子の物語というエヴァ的主題の中途半端さなど脚本の粗探しをすれば切りはないと思うが、もう面白いという感情の前に陳腐な脚本は何の意味を成さない。ただ両親の出会いから印象的に描かれる無言の視線のやり取りが終盤にも描かれるのだが、父のあの言動に至る際の無言の視線に感じるものが少なかったのは、脚本のせいにしたくなる。
画面を見ろと言わんばかりに意図的に台詞が排されたラストバトルは、監督の画面構築センスが炸裂。もはや美。アクションに興味がないという人が自分の周りに少なくないが、そういう人でも本作のアクションには感じるものがあるのではないかと思う。オープニングのカーアクション、中盤の高層ビルの足場での縦横無尽なアクションなど軒並み素晴らしい。終盤の派手な大怪獣バトルよりは生身の身体を活かしたフィジカルバトルの方が好みだった。
またお堅い雰囲気に陥ると、コメディに舵を切ってくれるオークワフィナ演じるケイティの存在も本作の大きな魅力。登場20秒くらいでいい奴と観客を味方に付ける。主人公の添え物じゃない独立した魅力を放っていて、それが本作の魅力とも直結しているように思った。ワイスピなみの後出しジャンケンで登場してくれるまさかのMCU脇役の存在含めて楽し過ぎる作品。
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