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シャン・チー/テン・リングスの伝説のkissenger800のレビュー・感想・評価

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世代的には香港映画、特にジャッキー・チェン諸作品に盛り上がっていて不思議ないんですけど当時も今も関心薄く、したがってワイヤー・アクション系はアン・リーが何故。って思いながら見た『グリーン・デスティニー』 (2000)ぐらいがリアルタイムなのですが、まあでもそういう意味では20年経ってもミシェル・ヨーはミシェル・ヨーだな。って感想……はともかく、トニー・レオンが肉体はともかく精神が要介護認定というか、あんなに元気かつ横暴だった親父がどうしちゃったんだ親父しっかりしてくれよ、ってものすごくせつない役柄で本当にしみじみしました(=同意を得られそうにない解釈)。

それとは別に、主役ふたりのカップリングをそう描くとつまらないんだけどな、超然とした位置づけには既にキャロル・ダンバースが居るけど、パーソナリティとしての無性愛と、男女の組み合わせに必ずしも「愛」をセットにしなくてもいいよ、もうフェーズ4だし。って話は別なわけで。
というモヤモヤが少し残りましたが、出てくると思っていなかった『アイアンマン3』(2013)以来のオスカー俳優が好感度アゲに来ていたのに笑った時点で俺の負けだったからまあいいです。
あいつすぐリバプールって言うんだよおまえはマンチェスター出身だろうビートルズをニオわせのネタに使うんじゃねえ(俳優デビュー前に縁があるんです、fab4と)。

オークワフィナの強引なまでの「ホテル・カリフォルニア」に意味があることは、映画の最終盤に彼女たちにかけられるセリフ「MCUに参加したら、もう後戻りはできないよ」とドン・ヘンリーの歌詞、"You can check out anytime you like, but you can never leave."(ホテル・カリフォルニアからのチェックアウトは自由ですが、なんだかんだ離れられないんですよ)を紐づけてるのね。なるほど。
って判明するわけですが、マカオに続けて香港を飲み込み、さらに台湾も。って中国国家の動向を考えると、まあまあ洒落になってねえ。だってこのレベルで本土公開NGって。いや、ハリウッドから見た遠い土地でなにやら陰謀が。って設定とか、しかもアジア系同士で争ってるなんて中共台湾を彷彿させる構図とか、ピリつくのも分からないではないんですけどね。
それこそ西側世界が嘘でも「もうやめとこうぜ」って合意に至った帝国主義に、21世紀になって踏み込むの? と世界情勢が頭をよぎることで、単純に面白がっていていいのか感、無きにしもあらずでした。
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