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ソー:ラブ&サンダーのumisodachiのネタバレレビュー・内容・結末

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

タイカ・ワイティティ監督。神殺しのゴアと対峙。マイティ・ソーとなった元恋人のジェーンとも再会する。

鮮やかな色彩と軽妙な(くだらない)ギャグ満載で面白かった。テンポよくいろいろな人が出てくるのも楽しいし、本筋はともかく脇道まで入れると複雑な話ではある気がするけれど、他作品を知らないと理解できない要素が少ないのも◎。

敵役ゴアを演じるクリスチャン・ベールはさすがの演技力。最初に神と会話するシーンでの表情の変化が素晴らしかった。あんなに細かく芝居できるの見事だよなあ。ゴア以外が全員コミックリリーフな感じなので、彼だけがシリアスなのも全体を締めていて良かった。

ジェーン役のナタリー・ポートマンは肉体を作りこんできての参戦。ビジュアルの説得力がすごいし、ムジョルニアを手にしているときとそうでないときのギャップもハッキリしていてわかりやすかった。

ゼウス役のラッセル・クロウも舐め切った演技で笑った。見た目もだが、妙に高い声でお上品かつ人を小ばかにした喋り方がふざけていて好き。

あとは……ほぼ既出キャラだよね?なので割愛。

と、まあ概ね満足だったし楽しかったのだが、どうしても受け付けない展開があったので最終的には沈んだ気持ちになった。

<以下ネタバレ>


























ゴアに誘拐されたアスガルドの子どもたちに一時的にパワーを与えて戦わせるという展開が……無理無理無理無理。これは「子どもは庇護されるべき」という自分自身の考え方に基づく拒否反応なんだけど、おもちゃを殺戮の道具にするとかさあ。やめてやめてとなってしまった。帰還した後も訓練してて、引いたまま終了。

戦闘民族?というか、普通の人間ではないとはいえ、さすがにあの状況で無理やり戦わせるのはキツい。自分たちの意志ですらないし。大人に飛びついてポカスカやる程度ならばともかく、思いっきり攻撃してたしなあ。

最近息子がドラゴンボール(アニメ)を観ているのだが、完全体のセルを倒すときに悟空が息子の悟飯にやらせるという展開がある。リアルタイムで見ていたときは何とも思わなかったのだが、今見るとかなり衝撃を受けてしまって。ただ、ドラゴンボールの中でも「子どもに一人で戦わせる」という展開は非常識だと判断されていて、悟飯の母親であるチチは誰に何を言われても最後まで怒り狂うし、他の人々もほとんどが「さすがにそれはひどい」みたいな反応をする。バトルアディクトでありヤバいヤツである悟空が独断で判断したクレイジーな措置、という前提で進んでいくのでまだ耐えられた。

しかし、本作は違う。ソー以外の大人がいないので誰も「それはちょっと」とは言わない。ソーも中身が未熟な部分があり、彼自身も子どもみたいなものだというエクスキューズができないわけではないが、あまりにスムーズに子どもたちに武器を持たせているので気持ちがついていかなかった。おそらくタイカ・ワイティティはこのあたりのむず痒さもわかった上でこうしているのだと思う。ブラックジョーク……とまではいわないが、ある種のエグさをわざと演出しているのかなあ。MCUそのものに対する皮肉とかなんだろうか。

















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