すずき

ハロウィン KILLSのすずきのレビュー・感想・評価

ハロウィン KILLS(2021年製作の映画)
3.4
前作の直後から話は始まる。
燃え盛る地下室に閉じ込めたハズの、マイケル・マイヤーズは生きていた!
近隣住民の通報か、運悪く消防隊が早く到着し、彼を救助してしまったのだ。
そして、現場の消防隊全員を殺害し、逃走するマイケル。
一方その頃、街ではマイケルの犯行が報じられていた。
40年前の事件の生存者たちは、彼の恐怖を乗り越える為、逃走中の彼を発見し殺す自警団を結成。
そのムーブメントは広がり、集団はマイケルを求め暴走していく…

2018年版「ハロウィン」の続編。
舞台は数年後になるかと思いきや、前作ラストと地続きの2018年のハロウィンの夜のまま。
40年前の事件の、78年版「ハロウィン」とは違う顛末を見せられるオープニングはやや退屈だけど、例の曲が流れると気持ちは盛り上がる。
「スター・ウォーズ」もそうだけど、コレ!っていうオープニング曲を持つシリーズはやっぱり強い。

今作は正義を成そうとする集団の危険性が一つの主軸となっており、主人公一家の存在感はやや薄め。ローリー婆ちゃんは入院中だし。
(恐怖に打ち勝とうとする)正義集団の暴走については、漫画「デビルマン」の昔から描かれてきた事態で、フィクション作品をよく見ている人にとっては見慣れたテーマだ。
しかし、そうでない人にはなかなか自分では気付けない事だし、定期的に繰り返し語らなければいけない。
アメリカ人って特に、「正義」に酔って乗せられそうだし。

主人公一家の存在感が希薄な分、前今作はマイケルへの描写が非常にカッコいい。
前半の消防隊皆殺しシーンも、燃え盛るローリー宅から仁王立ちで登場するマイケル、それを見て覚悟完了戦闘準備する隊員達(笑)!
襲い掛かる消防隊員を、鮮やかな手際でキルしていくのはヒーローっぽい!
そして後半の、自警団に取り囲まれ、マスクを被って変身!→しかし大ピンチ!→覚醒!の流れも仮面ライダーのそれでしょ。

しかし、殺人鬼と戦う人間の爪が甘いのはホント、ホラーありがちよね。
後半のマイケルを取り囲む自警団達は、打撲武器中心で銃を持っているのは1人だけ、という装備の貧弱さも笑える。
打撲でホラー映画殺人鬼って倒せた事あるのだろうか?

残酷描写、ゴア描写は前作よりパワーアップ。
カップル同士の片方が殺される所をもう片方に見せつける、という殺し方やたら多くない?監督や脚本の趣味か?
あと、前作にもあった、脳漿飛び散る死に方もスタッフの性癖っぽい。

全体的には普通に楽しめたけれど、前作のオチが凄く好きだから、やっぱり作らなくて良い続編かなぁ、とも思ったり。
衝撃の結末なので、続編に期待?