このレビューはネタバレを含みます
湿っぽい映画なのはわかって見に行ってるからそこはいいんだけど、役者がみんな棒立ちで泣いたり喚いたりしてる画が多すぎて飽きてくる。
展開も焦ったい。ネイモアの軍団が一回ワカンダを急襲してから、一旦帰ってくれるのはなんで？ いや、懐柔しやすいシュリを王座に据えることで降伏させようとしてるんだろうが、どうもまどろっこしい。
その後、シュリがハーブの力でご先祖様に会うんだが、ここも相当頭を捻ったと思うんだよ。ティ・チャラは出せない、でも出てこないのはおかしい。よし、ここはいっそのことキルモンガーだ、みたいな。しかし、そのせいでこのシーンにおいてシュリは復讐心をより強固にするだけで、心情のベクトルに変化がない。だからブラックパンサーのスーツでかっこよく登場した後に、エムバクとの問答とかが入ってテンポが削がれる。
あとMCUの他の作品にも言える事だが、ことの発端が軽すぎる、馬鹿馬鹿しい（大学の課題でヴィブラニウム探知機を作って〜のくだり）。せっかく昨今のアメコミ映画には珍しくシリアスな感情が流れているのに冷める。何を照れているのか。
これもMCU作品全般に言える事だが、第三幕のバトルがつまんないんだよな。たぶんロケーションが良くないんだ。あんな箱みたいな船の上でわちゃわちゃやってても面白くなりようがない。メダロットみたいなアーマーで空中戦もするけど障害物も何もない海の上だしなあ。
何より、オコエ役ダナイ・グリラの美しい身体性を剥奪してまであの不細工なスーツを着せる意味がわからない。
あと正直言ってVFXが酷い。劣悪な労働環境で奴隷のように働かされてるVFXアーティストには気の毒だけど、IMAXで高い金とる水準に達してねえよ。予告で流れたアバター2を見習ってほしい。あれはもしかしたら本作よりもずっとつまんないかもしれないけど、少なくとも手は抜いてないぜ。
